
深谷市が3月21日、「渋沢栄一そっくりさん」の向井正義さんと沼尻芳治さんに感謝状を贈った。
「2024年新紙幣発行までの5年、3人と一緒に活動できて心強かった」と感謝を伝える市長(右)と向井さんと沼尻さん
そっくりさんは、2019(平成31)年4月9日、深谷市出身の偉人・渋沢栄一が新1万円札の肖像となることが発表された直後に深谷市が開催した「渋沢栄一そっくりさんコンテスト」に出場し、選ばれた市民3人。感謝状は、同年5月7日からこれまで、市内外数々のイベントなどで深谷市や渋沢栄一翁をPRしてきたことへの感謝の意を表したもの。
特徴的なのはその格好。シルクハットにステッキを携えた洋装のモーニング姿(=渋沢栄一翁の姿)で全国へ深谷をPRしてきた。感謝状を手渡した小島進市長は「さまざまな行事に、全てボランティアで協力してくださった。明治時代の洋装を模したこのタキシードも一緒に買いに行ったし、皆さん自前で用意している。新紙幣発行までの5年、北海道に行ったり、東京証券取引所に行ったり。3人と全国各地で活動し深谷市と渋沢栄一翁をPRできて本当にありがたかった。3人がいて私は心強かった」と感慨深く話した。
向井さんは「全国から講演依頼があり伺ったが、本当にどの地域でも渋沢栄一翁がその土地で活躍し功績を立てていて、誇らしかった。話もしやすかった」と話した。沼尻さんは「深谷を有名にするために全国の組合の理事会を深谷で開催することができた。それもこれも『渋沢栄一そっくりさん』という役を受けたおかげ」と活動を振り返った。
そっくりさんの一人、鵜飼秀彦さんは今月1日に亡くなった。小島市長は葬儀前に駆け付けたという。「感謝状を読み上げ遺族に贈ったところ、奥さまから『うちの人は喜んでやっていた』と言ってもらえて、本当にうれしかった。思い出がありすぎる」と涙ぐんだ。3人そろっての最後の活動は、昨年7月14日に市内で行った新1万円札発行記念祝賀パレードだったという。
小島市長は「今回の感謝状は一つの区切り。お二人の体調が良ければ、これからも活動を続けてほしい」と期待する。「渋沢栄一が今、注目を浴びているが、世の中は日がたつとだんだんそういうのが薄れてくる。一過性で終わらせないよう、渋沢栄一の意思をくんで地元のために活動していきたい」と沼尻さん。向井さんは「命ある限り、少しでも深谷市のためになれるなら、これからも頑張りたい」と意気込む。