「やきとり」の辛みそだれを和菓子に取り入れた新商品「東松山さんぽ やきとり牡丹団子」の完成発表・試食会が12月24日、埼玉りそな銀行東松山支店で行われた。
東松山市と松山高校、松山女子高校、埼玉りそな銀行東松山支店、和菓子店「富久屋」、女子栄養大学の6者による「まち・ひと・しごと創生に関する協定事業」の取り組み。関係者らは今年8月から、「このまちに、未来に残せる名物を」と、思いを共有しながらプロジェクトを進めてきたという。
東松山市の「やきとり」は、串に刺して焼いた豚のカシラ肉をピリ辛の「辛みそだれ」につけて食べることで知られる。鶏肉は使わない。新商品は、1912(明治45)年創業の老舗和菓子店・富久屋の名物「牡丹(ぼたん)団子」がベース。団子に辛みそだれを組み合わせた。価格は280円。発売開始は2026年2月中旬を予定する。
基本アイデアやパッケージ案を提案したのは、松山女子高校の生徒と女子栄養大学の学生。パッケージデザインのコンセプトについて、生徒の一人は「昔から食べられている地元のお団子と高校生のコラボということで、ニューレトロをテーマに考えた」と説明。「一人でも多くの市内外の人に知ってもらいたい」とも。既存商品をアレンジした経緯を振り返り、学生の一人は「しょっぱいのと甘いので一度で二度おいしい」と話す。
生徒や学生との共同開発について、商品化に当たった富久屋の平田匠社長は「自由な発想から刺激を受けた」と振り返る。「開発に携わった若者が親になった時、自分たちが考えて作ったお菓子だと次の世代に語り継いでほしい」と世代を超えた継承への期待をにじませる一方で、辛みそのたれとあんこの甘さのハーモニーには改良の余地があると明かす。「販売開始まで試行錯誤を続け、皆さまに『また食べたい』と言ってもらえる味に仕上げたい」と意気込む。
当日は、プロジェクトを継続的に取材する松山高校新聞部も参加。試食会のコメントや各者の発言を丁寧に記録しカメラを向けた。これまでも、商品開発に関わった生徒・学生の姿や、6者連携の舞台裏を伝える記事を発表している。取材班班長は「試食した人が寄せた『口の周りに(たれが)つく、拭かなくちゃ食べられない食べ物っていいですよね。食べているという実感がある。感動した』という感想が印象に残った。取材は価値観の違いや言葉の選び方を学ぶ機会になった」と振り返る。この日の取材内容は年明けに校内新聞へ掲載するという。
販路拡大や情報発信は埼玉りそな銀行と東松山市が担う。「今まで食べたことのない甘辛で、辛みそだれとあんこのコラボは本当に斬新」と森田浩一東松山市長。「商品を分かりやすく伝える必要がある。市としてしっかりPRしたい」と話す。