納豆専門店「ひしや納豆製造所」(行田市旭町、TEL 048-556-0338 )が3月3日、創業150周年を迎えた。
1876(明治9)年創業の同店。地元農家から行田在来青大豆や熊谷在来妻沼茶豆を仕入れ、独自製法で商品づくりを続けてきたという。4代目店主の鈴木賢治さんは「創業時から手作りにこだわり、事業を広げずに続けてきた。先代から受け継いだのは、自分の目で見て納得したものだけを届けたいという強い思い。人任せにできない実直さが、150年続いてきた理由ではないか」と話す。鈴木さんによると、天候に左右されるため栽培が難しい大豆だが、地元農家と二人三脚で試行錯誤しながら安定した品質を守り続けているという。
店名の「ひしや」は、家紋のひし形に由来する。江戸時代は「忍藩(おしはん)」にみそやしょうゆを納めていたが、1876年に納豆専業として創業。納豆作りに励む両親の背中を見てきた鈴木さんは、40年にわたって納豆作り一筋。2016(平成28)年に行った製造所兼自宅の建て替えで、直接買いに来る近隣住民の声に応えて、5.78平方メートルの店舗を併設した。
商品ラインアップは、行田納豆(230円)、熊谷納豆(300円)、北海道納豆(240円)、ひしや納豆(140円)(以上、1セット50グラム入り2パック)、ひきわり納豆(40グラム入り2個=140円)、平八納豆(30グラム入り2個=140円)など。
鈴木さんは「店の看板商品は、希少な行田在来青大豆を使った行田納豆。よく糸を引き、奥深い風味と甘みが特徴。人気商品は熊谷納豆と平八納豆。大粒の熊谷納豆は、しっかりとしたコクと甘みに加え、ほのかな苦みがあり、塩をかけてもおいしい。小粒の平八納豆は小さめの茶わん一杯食べきりサイズで、特に女性に人気」と話す。
完成まで3日間かかるという納豆作り。1日目は大豆を24時間水に浸し、2日目の5時から低圧窯で3時間かけて蒸し上げ、たらいに移して大豆に納豆菌を吹きかけ、手早く混合して容器に詰める。容器を手作りの木箱に並べ、発酵室(むろ)で18時間じっくり発酵させ、3日目に糸が引くようになったら、包装をする。鈴木さんは「一般的な製法だと蒸し時間は30分ほど。うちはあえて低圧で3時間かけることで、大豆本来の甘みなどのうまみを最大限引き出している。一つの窯で大粒・中粒・小粒を蒸し上げるため、一度に作れる数には限りがありコストもかかるが、この手間は譲れない」と話す。
鈴木さんは「昨今、大豆だけでなく資材の価格も高騰し、価格改定の判断には頭を悩ませることもある。これまでの伝統的な製法を守り、ひしやの味を求めてくださる場所で大切に販売していきたい。より多くの地元民に、この味を口にしてもらえるよう、これからも地道に納豆作りに励んでいきたい」と意気込む。
営業時間は、月曜・木曜・土曜 =7時~18時、火曜・水曜・金曜=7時~12時、14時~18時、日曜=10時~18時。