小麦農家のベーカリー「六左衛門」(行田市行田、TEL 048-500-9459)がオープンして10月1日で3カ月がたった。運営は光栄社グループ。
看板商品の冷凍「特選クリームあんぱん『六左衛門』」「約1時間自然解凍して食べると、もっちりしたパンの中のあんことクリームがちょうど良い状態で食べられる」と萎澤さん
場所は中心市街地にある「あらまち商店街」の一画。天然素材のムクノキを生かした内装で、売り場面積は約28平方メートル。テーブル席4卓12席、テラス席3卓6席のイートインスペースを併設する。
行田で生まれ、土木や建築、福祉関係の仕事に携わってきた店主の萎澤敏健さんが、小麦農家の父親を手伝うことになり、農業で地域活性化する方法を模索。自身が病気になって食に対する意識が変わった経験から「ルーツが分かる食を大事に、行田小麦で地元の農家を元気にしたい」と自家栽培の小麦をひき、全粒粉で作るパンの店を開いた。
「特選クリームあんぱん『六左衛門』」(300円)、「全粒粉食パン『行田小麦』」(1斤=400円)、「行田産米粉山食『にこまる』」(1斤=380円)、「ベーグル各種」(160円~)などは冷凍品と焼きたて品を用意。ほかに、焼きたてパンは「あんぱん」(250円)、「にこまるレーズンちぎりパン」(380円)をはじめ、調理パンが常時約13種類並ぶ。クッキーやラスク、「シャインマスカット入り冷凍クリームあんぱん」(430円)などの期間限定商品もある。
「看板商品は、自然解凍して食べる冷凍パンの『特選クリームあんぱん六左衛門』」と萎澤さん。「幼い頃から食べてきた母の手作りあんこに着目した。あんこの味を懐かしいと思ってくれる人は多い」と話し、あんこ入りのパンが人気商品になっているという。「食品ロスの削減につながる冷凍パンは、焼きたてを瞬間冷凍するため焼きたてに近い状態で長期間楽しむことができる。パン職人と試行錯誤し、あんとクリームを合わせた」とも。使うあんは、母のゆき江さんと2人で週2日約4時間かけて北海道産小豆を煮ているという。
本庄市から来たという客は「来週帰ってくる子どもに冷凍の『特選クリームあんぱん』を食べさせたくて買った。冷凍パンだと日持ちしていい」と話していた。
店名の「六左衛門」は祖先の名前「萎澤六左衛門」から。萎澤さんは「幼い頃から先祖が旅人をもてなしたと聞いて育ち、両親が収穫した農作物をお裾分けする姿を見てきた。おもてなしの精神を大事にしたいと名付けた」と話す。
「日本全国の人に行田小麦を知ってほしい。行田は風土的に米や麦の栽培に適している。小麦から自家栽培してパンを作る店は少ない。パン作りの工程を知ることで子どもから高齢者まで安全で安心なものだと実感して食べられる。日常的に食べる人も増えているパンを通し、農業に対するイメージを好転するきっかけにしたい」と意気込む。
営業時間は10時~17時。水曜定休。