
「WRO Japan-埼玉プレ大会&体験会」が3月9日、熊谷市男女共同参画推進センター「ハートピア」で行われた。
プログラムを実装したロボット。この日の課題「ブロックを持ち上げる」「運ぶ」「放す」に取り組む
「WRO(World Robot Olympiad)」は、自律型ロボットによる国際的なコンテスト。小学生から高校生までの参加者が、ロボット製作とプログラムで自動制御する技術を競う同コンテストは、科学技術を身近に体験すると共に、国際的な舞台で活躍できる人材を育成するためのステップとしても期待されている。
WROJapan埼玉実行委員会は、埼玉県から「世界で活躍できる選手を輩出しよう」と同体験会を企画。WROの世界を体験する機会をつくり、地域の親子を対象にロボットコンテストの魅力を伝える狙いがある。
当日参加したのは熊谷の小学3~6年生計35人。3~6人のチームに分かれて、ニックネームや得意なことなど自己紹介をした後、説明を受けながらキットを使ったロボットを組み立て、コードをつなぎ、PCの画面でプログラムを動かし、与えられた課題をクリアする挑戦に取り組んだ。
WROJapan埼玉実行委員会の原田勲実行委員長は「GIGAスクール構想を進めている熊谷市の子どもたちは、タブレットやプログラミング教育に慣れている」と話す。会場では、PCの画面と実際のロボットの動きを見比べながら「感覚的に」「直感で」ためらいなくプログラムを動かし、試行錯誤しながら学ぶ子どもたちの姿があった。担当スタッフは「子どもの吸収スピードは、大人が思っているよりはるかに早い」と驚いていた。
チームごとの発表では、児童から「ロボットを組み立てて動かすのは難しいが、友達と協力してできたので楽しかった」「思うように動かすことができなくて難しかった」との声が上がった。小学3年生の子を持つ母親の一人は「興味があるのは知っていたが、実際に体験するのは初めて。楽しそうで、夢中になって取り組んでいるのが良かった。体験が将来の役に立つと思う」と話していた。
プログラミング教室に通ったことがある児童、初めてプログラミングに触れる児童など、さまざまなメンバーが集まる中で、子どもたちはチームワークを通じて創造性や問題解決力を高め、先端科学技術に触れる貴重な体験をした。初めはコミュニケーションが難しかったメンバーも、午前午後の活動の中で声かけや感謝の気持ちを伝えるようになり、ロボットの動きに一喜一憂しながら課題に取り組む姿が見られた。
本大会は7月13日ころ。実行委員会は今後も熊谷で勉強会を行う。原田さんは「WROは単なるロボットコンテストではなく、メカトロニクスやコンピューター技術など先端科学技術を実践的に体験できる場であり、創造力や問題解決力、チームワークを育む貴重な機会となっている。イベントを通じて、子どもたちが科学技術への関心を高め、将来のエンジニアとして成長できるように支援したい」と意気込む。