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ものつくり大学で、千利休 国宝「待庵」の原寸再現へ

伝千利休《国宝・待庵》安土桃山時代(16世紀)/2018年(原寸再現)制作:ものつくり大学※参考図版

伝千利休《国宝・待庵》安土桃山時代(16世紀)/2018年(原寸再現)制作:ものつくり大学※参考図版

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 ものつくり大学(行田市前谷)で現在、千利休作とされる現存唯一の茶室、国宝「待庵」を原寸再現、来月森美術館で開かれる展示へ向け準備している。

仮組の前で説明する岡田准教授

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 千利休の作と伝えられ、京都・妙喜庵に現存する日本最古の茶室の国宝「待庵」。約400年前に建てられたと推測され「わび」の思想を空間化したもの。今回、六本木ヒルズ・森美術館15周年を記念して開催される「建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの」のため原寸再現を依頼された。

 同大学はものづくりで社会を支える「テクノロジスト(技能のわかる技術者)」を育成する工科系大学。ものづくりに従事する人材を育成する。2011年「世界を変えたモノに学ぶ/原寸プロジェクト」で、国立西洋美術館を設計した巨匠ル・コルビュジエの終の棲み家「カップ・マルタンの休暇小屋」の原寸を再現。翌年には正式にレプリカとして認定されている。

 制作は同大学の建設学科、総合機械学科が共同で行い学生と教職員や非常勤講師(職人)の約50人が関わる大プロジェクト。昨年6月より準備が始まり12月に京都へ視察、今年2月より施工を開始した。

 実測図の収集や図面の整理、材料選定を行う設計班。原寸スケールはもちろん、待庵の竹の節の位置を参考に節を合わせたり、柱を加工したりと仮組みを進める木工班。障子や襖、つり棚の制作、経師貼りを行う建具班。竹の節合わせ、塗装などを行う仕上班。土壁に藁をきざんで練り込み、本組み後に左官するよう何度も試行錯誤する土壁班。300本以上の和釘を制作する金物班に分かれ、展示入替時期の20日ほどで完成させるための準備を行っている。

 木工班に参加する2年生の男子生徒は「竹の節の位置や葦の固さなど自然のものは一つ一つ違って難しい。図面や資料を確認してより本物に近づけるよう相談しながら作業している。ものづくりが好きなのでプロジェクトに参加できてうれしい」と話す。

 再現するのは2畳の茶室と次の間の極小空間。建設学科の岡田公彦准教授は「待庵では角の柱の上に土壁を塗ることで柱の線を消し、それによって最小限の空間に広がりを与える工夫をしている、利休がどんなことを考えて作ったのか思いをめぐらせることができる」と話す。

 建設学科の大竹由夏助教は「日頃から熱心な学生たちが集まった。試行錯誤し、難しい作業は非常勤講師の力を借りながら進めている。原寸レプリカの制作は、学生たちにとって他では得られない貴重な経験になるはず」と意気込む。

 展示は4月25日~9月17日。会場は六本木ヒルズ森タワー森美術館。

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