熊谷市出身で日本初女性医師、荻野吟子の生涯を描いた劇映画「一粒の麦 荻野吟子の生涯」(山田火砂子監督)の完成試写会が9月1日、妻沼中央公民館大ホール(熊谷市妻沼、TEL 048-588-2044)で行われる。
荻野吟子役を若村麻由美さん、志方之善役を山本耕史さんが演じる
江戸時代末期、現在の熊谷市に生まれた荻野吟子は、不慮の病で婦人科の治療を受けたことから女性医師の必要性を痛感して医師になることを目指し、1885(明治18)年日本初の公認女性医師となった埼玉県を代表する偉人。医療や女性解放運動など活躍し、女性の地位向上や衛生知識の普及に大きく貢献した。
今春行われた撮影では、熊谷市の国登録文化財「坂田医院旧診療所」や「井田記念館」をはじめ、深谷市や群馬県千代田町などもロケで使われ、熊谷市の小学生や市民らもエキストラ参加、映画作りを支援したいとボランティアが集まるなど地域ぐるみで協力した。荻野吟子役を若村麻由美さん、志方之善役を山本耕史さんが演じる。
熊谷ロケーションサービスの大嶋和浩さんは「数々の文献があり小説や芝居化もされているが、これまで吟子の人生の後半部分には少し寂しいイメージがあったと思う。近年吟子直筆の手紙などの研究が進められたおかげで、熊谷を離れた後も郷里に心を寄せていたことや、穏やかな晩年を送っていた様子も分かってきた。映画では新たな一面も発見できるはず」と期待を寄せる。「地域の人なら誰もが知っている日常の風景が出てくるのも見どころ」とも。
映画化を記念し、地元ボランティアグループ「阿うんの会」では撮影が行われた「妻沼聖天山」や「赤岩の渡し」「坂田医院旧診療所」など撮影場所を巡る「一粒の麦」ロケマップを作成、試写会当日に配布する。ロケ地の一つで会場近くの「坂田医院旧診療所」は当日限定で一般公開する予定。
上映時間は10時30分~、14時~。監督と出演者による舞台あいさつも行われる。料金は、前売り券=1,400円、当日券1,800円。