フランスの画家モーリス・ユトリロの絵画「サン・リュスティック通り、モンマルトル、冬」が現在、長島記念館(熊谷市小八林、TEL 0493-39-2025)で公開されている。
特別公開中のユトリロの絵画「サン・リュスティック通り、モンマルトル、冬」
モーリス・ユトリロ(1883~1955)はパリ出身。生まれ育ったモンマルトルの街路風景などの作品を多数描き、「エコール・ド・パリ」と呼ばれるパリに集まった若手画家の代表格として活躍。日本の藤田嗣治(レオナール・フジタ)ら気鋭の画家にも大きな影響を与えたことで知られる。
絵画「サン・リュスティック通り、モンマルトル、冬」は1933年ごろに制作された縦61センチ×横50センチの油彩画。2019年、同館を管理する公益財団法人長島記念財団が購入し、広く市民に鑑賞してもらおうと展示を企画。1年間の予定で特別公開している。
展示する「長島記念館」は埼玉銀行(現在の埼玉りそな銀行)頭取と会長を務めた長島恭助(1901~1992)の生家で、1994(平成6)年に記念館として開館。江戸時代後半に建立された主屋や大谷(おおや)石を積み上げた石蔵などが保存されている。石蔵は美術展示室に改修され、長島家の所蔵資料のほか横山大観や川合玉堂などの日本画、小磯良平や小松崎邦雄、須田剋太をはじめとした著名画家の油彩画や渋沢栄一の書など、数々の資料を展示する。敷地全体は「長島記念館・邸宅」として熊谷市の名勝に指定されている。
熊谷市の学芸員は「ユトリロが愛したモンマルトルの街路を歩く人々と、背景に見えるサクレクール寺院の描写が印象的。世界的に著名な名画が収集された意義は大きい」と評価。美術コレクションを管理する同財団常務理事の田沼利将さんは「貴重な絵画を入手できた。他にも近代美術の名作を所蔵しているので、展示を通じて文化振興に努めたい」と話す。
開館時間は10時~16時。月曜、木曜休館。入館料は大人=300円、小中学生=100円。公開は2021年春まで。