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深谷で映画「花筐」 大林宣彦監督・名誉館長を迎え舞台あいさつ

上映後、舞台あいさつに立つ大林監督

上映後、舞台あいさつに立つ大林監督

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 深谷シネマ(深谷市深谷町、TEL 048-551-4592)で3月11日、「花筐(はながたみ)」の上映が行われ、大林宣彦監督が舞台あいさつを行った。

映画 花筐/HANAGATAMI

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 戦時前夜、佐賀・唐津の若者たちを描いた同作品は、大林監督が「HOUSE ハウス」より前に書き上げていた脚本を映画化したもの。原作は三島由紀夫がこの一冊を読み小説家を志したという檀一雄の純文学「花筐」。17歳の主人公を演じるのは「その日のまえに」など大林監督作品に出演している窪塚俊介さん。主人公が憧れる美少年に満島真之介さん、病を患うヒロインに矢作穂香さん、そのほか門脇麦さん、常盤貴子さん、武田鉄矢さん、片岡鶴太郎さん、高嶋政宏さんらが顔をそろえる。

 9時30分からの開演を前に客席数を上回る観客が来場し、急きょ補助席も追加して80席が満席となった。

 上映後の舞台あいさつで大林監督は、クランクイン直前の昨年8月に肺がんで余命宣告を受けたことや、表現は違うが実は「HOUSEハウス」と同じ題材で自分はずっと「戦争」を伝える映画を作っていることなどを話した。映画には旬があることに触れ「約40年前に書き上げた脚本が今必要とされているのは、世の中があの時代に似ているから。家族そろって平和に暮らすことができる世の中なら映画はいらなくなる、映画がいらなくなるまで撮り続けたい」と話した。「撮りたい映画は20、30と自分の中にあるが、いつ撮るのかを決めるのは自分ではない」と天を指す場面もあった。

 大林監督が名誉館長を務める同シネマ。「市民のための映画館」を目指して館長の竹石研二さんが1999年、市民の会を結成したことから始まった。市民の賛同署名や市内外からの寄付が活動を盛り上げ同市TMO(市街地活性化)構想が認定され常設館へと発展。2002年に旧さくら銀行跡地に開館し「街なか映画館」として親しまれたが、市の区画整理事業によって2010年に現在の七ッ梅酒造跡に移転した。NPO法人市民シアター・エフが維持管理。

 竹石館長は「憲法改正や情勢変化など危惧される事柄が多い今、若い人にはもちろんさまざまな年齢層に見てほしい映画」と話す。「今はいつでもどこでも映画鑑賞ができる環境がある。こんな時代だからこそ映画館の暗闇の中、大きなスクリーンで見てほしい。客席に座る自分と同じ空間で同じ映画を見る人と、無言で共有する何かを感じられるはず」とも。

 上映は今月31日まで。火曜定休。

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