熊谷・妻沼聖天山(熊谷市妻沼)に1月22日、熊谷工業高校建築科の生徒7人が製作したベンチ8台が設置された。
「縁結びベンチ」の座り心地を確かめるボランティアガイドスタッフ
ベンチは3つのデザインで製作。最も大きな作品は、六角形をかたどった「縁結びベンチ」。ベンチ6台を並べている。縁結びで知られる妻沼聖天山にちなんで円(=縁)を囲んで座れるようにし、サークル内で子どもが遊べる工夫も施した。
このほか、ベンチの両脇に幅広の手すりを付けて立ったり座ったりしやすいよう安定感を出した「和風ベンチ」や、テーブルとドリンクホルダーを中央に配置して「妻沼いなり寿司(ずし)を食べながらゆったりくつろげるようなデザインにした」という「憩いのベンチ」も製作。それぞれに特徴と機能を持たせた。
熊谷市が2020年から同校と協働で進めている「聖天山周辺地区にふさわしい門前町景観まちづくりプラン」に基づく継続的な活動の一環。「若い世代と地域の協働による景観形成」を目指している。生徒たちは事前に現地視察して地域の文化や歴史を学び、周辺の景観と調和したベンチをデザイン。3年間で学んだ木造建築の技法を取り入れ、金属のさびによる劣化を防ぐためできるだけねじを使わず、ほぞとくさびを組み合わせる伝統工法を採用した。座面には住宅の柱材にもなるヒノキを使い、50年後にも残すことを目指している。
同校の竹田基教諭は「生徒たちは技術を磨くだけでなく、お年寄りや子どもたちがどのように使うかを想像しながら設計した。つい先日まで皆、時間を忘れて作業に没頭していた。実践的な経験を通じて、生徒たちの心も豊かになったと感じている」とメンバーの頑張りをたたえた。荻原康之校長は「生徒たちにとって、3年間の集大成。学んだ知識と技術を実践する貴重な機会になった。参拝者や地域住民に使ってもらえる作品を製作できたことが大きな自信につながると思う。ベンチが世代を超えた交流の場となって新たなご縁がつながれば」と話す。