
「食堂たなか」が4月1日、熊谷市板井にオープンした。運営は田中農場(深谷市本田)。
「おいしい、安全、ただそれだけ」をモットーに卵を生産販売する同農場の農場長、田中拓也さんが「卵の販売だけでなく、新たな商品を展開したい」と模索し、「親鶏」に着目。「関東ではなじみがないが、九州や東北では卵を産み終えた親鶏を食べる文化がある。親鶏を使っただしや鶏肉でラーメンを提供しよう」と考えた。
もともと料理好きだったという田中さんは、農場直売所の一角でラーメン作りを始め、2022年11月から毎週火曜限定で直売所前に「田中軒(仮)」を開店。テントの下にテーブルを置いた屋台スタイルで、「親鶏醤油(しょうゆ)ラーメン(生卵入れ放題)」を提供した。
客足も増え、2024年4月に「親鶏中華田中軒」と名称変更して営業日を拡大。そのころ農場近くの「食堂さくら」が閉店する。「よくランチを食べに行っていた食堂だった。近くの店はコンビニがメインになってしまう。地元の食材を使って安心して食べられる食堂が必要」と店を借りて「食堂たなか」をオープン。店舗面積は約106平方メートル。カウンター席7席、テーブル席3卓12席、座敷席5卓22席を設ける。
メニューは、生卵の数を選べる「親鶏醤油ラーメン」(600円)や、深谷ねぎの上に肉そぼろと卵がのった「鶏叉丼」、「日替わり定食」「もつ煮定食」(以上800円)、「生姜焼き定食」(1,000円)のほか、「鶏だし香る中辛の親鶏カレー」「オリジナル鶏肉粥(かゆ)」(小=400円、大=800円)などを用意。11時までの「モーニングメニュー」(500円)は、卵かけご飯又はトーストを選び、ドリンク(コーヒー、オレンジジュース、牛乳)、生卵、ゆで卵が付く。卵はお代わり自由。
「田中農場の卵に慣れ親しんでほしい」と、定食セットの卵スープ、卵かけご飯の生卵もサービス。カウンターでスタッフに伝えれば器に卵を追加で割り入れる。「日本の生食文化を継承していきたい。うちの卵の黄身はねっとりして箸でつまめるほど濃厚なのが特徴。雑味がなくて白身までおいしいので、味の違いに気付いてほしい」と話す。「町の食堂として、老若男女、手頃な価格で食べられて、朝から昼過ぎまで人が集う憩いの場になれば。スタッフが増えたら夜はお酒も出したい」と意気込む。
営業時間はモーニング=8時~11時、ランチ=11時30分~14時。土曜、日曜定休。