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熊谷の小学生が「マンガ 斎藤実盛と妻沼聖天山」で地域の歴史学ぶ

6年生(2クラス55人)を対象に各クラスで行われた特別授業。3月に市内全小中学校の全児童・生徒に配布し、市内各所でも販売している「マンガ 斎藤実盛と妻沼聖天山」(熊谷市刊行)を使った

6年生(2クラス55人)を対象に各クラスで行われた特別授業。3月に市内全小中学校の全児童・生徒に配布し、市内各所でも販売している「マンガ 斎藤実盛と妻沼聖天山」(熊谷市刊行)を使った

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 地域の歴史と文化を伝える出前授業「こんなにすごいよ長井!」が6月25日、熊谷市立長井小学校の6年生を対象に行われた。

授業の様子。「駒王丸が預けられたのは今のどのあたりなのか?」「実盛塚は誰が作ったの」「聖天様にある実盛の像はいつ作られた?」など質問も

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 地元に誇りの持てる子どもたちの育成を目的に、熊谷市が刊行した「マンガ 斎藤実盛と妻沼聖天山」を活用した特別授業。NPOくまがやの理事で元小学校長の関根達郎さんが、配布された冊子をもっと生かし、子どもたちに地域の歴史や文化を実感してもらおうと企画した。冊子は、かつて熊谷市北部を治め、源平合戦で活躍した武将「斎藤実盛」と、史跡「妻沼聖天山」などを10のエピソードで伝える。

 当日の講師は関根さんと市史編さん室長で図書館司書の田邊むつみさん、学芸員の蛭間健悟さん、長慶寺の住職で安井俊龍さんの4人。授業は、平安末期の武将で地元・長井の荘を治めた郷土の英雄・斎藤実盛の生涯や業績、妻沼聖天山の歴史と魅力を読み聞かせながら進め、源平合戦や地域開発、文化財の創建などに尽力したことや、幼い駒王丸(後の木曽義仲)を救い、源義朝を機転で助け、平家方として地域を守り、最期は70歳を超えてから髪を黒く染め戦死したエピソードなどを紹介した。妻沼聖天山には埼玉県唯一の国宝建造物「歓喜院聖天堂」や重要文化財「貴惣門」があり、これらは地域の名工や地域の人々が力を合わせて完成させたことも強調した。

 児童は「自分たちが住む場所が物語になっていることに興味が高まった」「漫画を使った授業が分かりやすく、楽しかった」「難しい漢字もあったが、理解が深まった」と口々に話していた。妻沼聖天山については「身近な存在で、家族とよく訪れている」「家族にも授業内容を伝えたい」「今までのイメージはただの強い武将だったが、人を助ける優しさも知った」といった声が聞かれた。

 「読むだけでは理解が難しい。説明や体験を通じて伝えることが重要だと感じた」と蛭間さん、安井さんは「長慶寺や地域の文化財も、こうした学びを通じて次世代に伝えていく意義を感じた」と話す。

 「この授業を通じて児童から家族へ、そして地域の皆さんに斎藤実盛の生涯や業績、妻沼聖天山の歴史と魅力が伝われば。自分の住む長井のことを知り誇りを持ってもらいたい」と同校校長の木下友子さん。関根さんは「今回の授業を皮切りに、妻沼地区全体や他地域、市外にも展開していきたい」と話し、地域の歴史や文化を次世代に伝える新たなモデルケースとして期待を寄せる。

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