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行田の足袋蔵に手仕事品店「日々新た」 作り手の思い伝える

店主の石川尊央さん(右)と妻の志保さん。尊央さんは、書道教室を開く母に贈る硯を探していて硯職人の技に魅了され、担い手が減少する伝統的なものづくりの発信者になることを決めたという

店主の石川尊央さん(右)と妻の志保さん。尊央さんは、書道教室を開く母に贈る硯を探していて硯職人の技に魅了され、担い手が減少する伝統的なものづくりの発信者になることを決めたという

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 全国の手仕事品を扱うセレクトショップ「日々新た」が7月10日、旧牧野本店店蔵(行田市行田、TEL 070-6529-5446)にオープンした。

店舗外観。大正13年に建てられた旧牧野本店店蔵

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 店主の石川尊央さんは、伝統工芸の職人技とその担い手が減少している現状に触れ、作り手の思いを伝える発信者になることを決意。生まれ育った行田の足袋文化にあらためて着目し、その良さを再認識したことから、足袋蔵での開店を目指して福岡県で修業を積み、Uターン起業した。

 大正時代の趣を残す総ケヤキ造りの足袋蔵を活用している同店は、コンクリートの土間が特徴的な空間。市内の蔵主から譲り受けた棚やたんすを配置し、商品をゆっくりと手に取って選べる空間を演出する。店舗面積は約28平方メートル。

 店内に並ぶのは、石川さん夫妻が全国の作り手を訪ねて、その製法や背景にある物語に共感したもののみ。地元埼玉県からは、足に吸い付くようなフィット感と蒸れにくさが特徴の行田足袋(2,200円~)や、使うほどに藍の風合いが増す羽生市の武州正藍染で作られたストールや小物(750円~)といった逸品を紹介する。ほかにも、石川さんが修業時代に出合った福岡県の久留米絣のもんぺ(12,000円~)は、通気性が良く現代の暮らしにも合うデザインが特徴。兵庫県からは手作りせっけん(1,000円~)、長野県からは天然素材で編んだ締め付けない優しい履き心地の靴下(1,200円~)など、「日々の暮らしを豊かにする品々」をそろえる。

 店名の「日々新た」には、物選びを通じて新しい発見や気づきを届けたいとの願いを込めた。石川さんは「ものづくりの背景も伝えながら、手仕事品を介して地域内外の人が交流できる場所にしたい」と話す。8月1日から「オープニングイベント」として、福岡県八女市の人気ブランド「うなぎの寝床」による「MONPE展」を開く予定。「風合い豊かな久留米絣の魅力をぜひ体感してほしい。このもんぺが地域で再評価されたように、この店が行田足袋の価値をあらためて考えるきっかけになれば」と期待を寄せる。

 営業時間は11時~17時。営業日はインスタグラムで案内する。

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