
関東一の祇園と称され、7月20日から22日にかけて多くの来場者でにぎわった「熊谷うちわ祭」の舞台裏で今年も「日本一きれいな祭り」の実現を目指す市民ボランティアによる清掃活動「うちわ祭りdeクリーンアップ2025」が行われた。
いっぱいになったごみ袋をまとめ、箱に新しい袋をセットするボランティアスタッフ
2008(平成20)年に始まったこの取り組みは、市民団体「くまがや市市民活動ふれあいネットワーク」会員で同年のうちわ祭大総代だった重竹淳一さんの発案で始まり、10年以上市民活動団体の協力を経て、現在はNPOくまがやを中心にボランティアを募って行っている。
「お祭りを楽しむついでに、あなたの60分を」を合言葉に、参加者は祭りが最高潮に達する18時~21時の間、1時間交代で活動。3日間で累計130人以上が参加した。今年特に注目されたのは約80人にも上る中高生の参加だった。参加者は2、3人のチームを組み、「星川コース」や「17号コース」といった担当エリアを巡回。祭り会場の54カ所設置されたごみ収集場所を回り、満杯になったごみ袋の交換や、散乱したごみの回収に汗を流した。
同級生に誘われて3人組で参加したという中学2年の男子は、「想像以上に臭かったし、たくさんの人が捨てるごみは本当に重かった」と率直に語る一方で、「でも、自分たちの手で街がきれいになっていくのは気持ちが良かった。来年やる人には、重い袋を持つための筋トレをお勧めしたい。1人ではきついので、3人くらいで協力するのがちょうどいい」と笑顔で話す。
同団体の生越康治さんは「今年は路上に落ちているごみが少なく、参加した生徒からも『思ったよりきれいだった』という感想があった」と話す。
新たな課題も浮き彫りになった。熊谷市や近隣自治体ではペットボトルを分別回収しているが、配置されたごみ箱では「燃えるごみ」と「燃えないごみ」の2種類。来場者やボランティアが、ペットボトルをどちらに入れていいのかとまどうケースが多発した。ボランティアからも「表示が分かりにくかった」との声が上がり、来年に向けた改善点として認識された。ごみ箱の設置場所についても熊谷駅側に少ないことにボランティアが気付いた。特に帰宅者が集中する駅周辺やアンダーパス付近では、数少ないごみ箱にごみがあふれていた。
生越さんは「今年の状況を分析し、ごみ箱はよく捨てられる場所に配置できるといい。伝統あるお祭り、美化活動に参加したいという方は年々増えている。今後も協力して、持続可能な『きれいな祭り』にしていきたい」と意気込む。
熊谷うちわ祭令和7年 年番町 第弐本町区によると来場者数は3日間で75万人。昨年の来場者数を踏まえて燃えるごみ310箱、燃えないごみ300箱を用意した。同区副大総代の原口紀一郎さんは「熊谷駅前の初叩(たた)き合いで、腕章を着けた学生さんが大勢の人混みの中、袋とトングを持ってごみを拾う姿を見た時には、感動のあまり写真撮らせてほしいと言っていた。祭りはたくさんの方々の協力、行動、支えがあって成り立っていると実感した」と感謝する。「熊谷うちわ祭は年番制で毎年担当が変わる。そこが面白い反面、こういった陰の活動をおろそかにしないよう、しっかり引き継ぎながら後世に残していける祭りにしたい」と力を込める。