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「熊谷うちわ祭」で4年ぶりのおもてなし 外国人観光客「OMOTENASHI」とクリーンアップの取り組み

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最終日の年盤送り。年盤札を手渡される

 新型コロナの影響で2020年・2021年は神事のみ、2022年は規模縮小で行った「熊谷うちわ祭」。今年は4年ぶりにさまざまな諸行事が行われ、20日、全12基の山車と屋台が横一列に並ぶ熊谷駅での「初叩(たたき)合い」、21日・22日の国道17号線を含む市街地の交通規制、最終日の「曳合(ひっかわせ)叩合い」など、熱中症対策で実施時間の変更もあったが、従来に近い形で開催された。熊谷うちわ祭令和5年 年番町 仲町区によると来場者数は3日間で62万人だった。

4年ぶりに行われたのは祭りの諸行事だけではない。毎年「熊谷うちわ祭」開催期間中に行っていたボランティア活動も戻ってきた。

外国人観光客 OMOTENASHI

 祭りに訪れる外国人観光客をボランティアガイドでもてなす活動「うちわ祭外国人観光客OMOTENASHI」が7月22日行われ、NPO法人「AEA(All Education Academy)」の子どもと家族ら17組が合計72人の外国人観光客をもてなした。

 2017(平成29)年から行っているボランティアガイド。英語でうちわ祭を紹介しながら案内し、一緒に祭りを楽しむ。コロナ禍の影響で、2020年から3年間、観光客を招待できない状況だったが、今年は4年ぶりの通常開催で観光客を受け入れ、おもてなし活動を行った。

祭りに訪れる外国人観光客をボランティアガイドでもてなす活動「うちわ祭外国人観光客OMOTENASHI」

 当日、熊谷市役所前で観光客を出迎えたAEAメンバーは、中央公園の入り口にキッチンカーを置いた手作りのカフェ「ELFカフェ」に招いて互いに顔を合わせ、もてなした。用意したうちわやラムネ、抹茶かき氷をドネーション(寄付)で提供。初めは遠巻きに眺めている子どもや会話の糸口を探している子どももいた。チラシを手渡したり、紙に筆で漢字を書いたり、浴衣姿やげたに興味を持った観光客から声をかけられたりしながら、英語でコミュニケーションを取り、いつの間にか打ち解けていた。その後AEAメンバーは、観光客とペアになって祭りへ繰り出し、日が暮れるまで共に祭りを楽しんだ。

子どもと家族ら17組が合計72人の外国人観光客をもてなした

 参加した中学2年生は「初めてのOMOTENASHIで緊張していたが、外国人家族の子どもたちと『お化け屋敷』と『ガリガリ君』で一気に仲良くなれた」と話し、観光客のElliot Cynthiaさんは「うちわ祭に来るのは2回目、友人からの口コミで来た。一生懸命ガイドしてくれる子どもたちは本当に感動する。ラムネというソーダを初めて飲んだ。開け方を教えてくれて面白い経験だった」と笑顔を見せた。

昨年「埼玉親善大使」の任命を受けたAEAは、県と世界の国々との架け橋として友好交流を進めるため、県内の魅力を積極的に発信している

 カフェ運営で集まった寄付金は、2020年東京オリンピックで、「AEAキッズ」がつながった各国選手への応援資金として使う予定。行政や大学、民間企業など各機関と連携して子どもたちが英語や異文化に触れる機会をつくり、海外に関心を持つ人材を育成しているAEA。昨年、埼玉親善大使に任命され、県と世界の国々との架け橋として友好交流を進めるため、県内の魅力を積極的に発信している。

 

うちわ祭りdeクリーンアップ2023

祭りのごみを収集するボランティア活動「うちわ祭りdeクリーンアップ2023」

 祭りのごみを収集するボランティア活動「うちわ祭りdeクリーンアップ2023」も4年ぶりに行われた。主催はくまがや市市民活動ふれあいネットワークなどで構成される実行委員会。「日本一きれいな祭り」を呼びかけ、2008(平成20)年に同ネットワーク会員で同年うちわ祭大総代の発案により始まったという。市民活動団体や市民有志のボランティア。21日・22日の2日間、18時~21時で1人30分をめどに祭り会場に設置したごみ箱のごみ袋を交換したり周辺のごみを拾ったりする。

 今年は10~70代のボランティアが参加。2日間で累計114人のボランティアスタッフが2~3人ずつチームになってごみ袋を手に、祭り会場内53カ所のごみ収集場所を回りごみを集めた。祭りを取りまとめる年番町の仲町区は、うちわのイラストと「祭」の文字を書いた1メートル四方の大きな段ボール箱を540箱用意。各町区に配布したほか、人の集まりやすい場所にごみ収集場所を設けて「もえるごみ」「ペットボトル」「ビン」「カン」の表記で並べ来場者のごみ捨てを促した。

祭り会場内53カ所のごみ収集場所を回りごみを集めた

 ボランティアに参加した大学生は「初めて参加するが、ごみをポイ捨てする人は少ない。あちこちにごみ収集場所が設けてあり目立つからいい」と話した。スタッフは途中足りなくなったごみ袋を買い出しに行ったり、分別表示を見やすく工夫したりしながら活動。年番町から御礼として熱中症対策の冷却グッズ「クールネック」が配布された。

「熊谷に来てくれた人に、気持ち良く楽しんでもらいたい」「ありがとうって言ってもらえてうれしい」と参加者からの感想があった

 「熊谷に来てくれた人に、気持ち良く楽しんでもらいたい」「ありがとうって言ってもらえてうれしい」といった感想がある一方で、「分別の表記が表にも裏にもあるともっといい」「ごみ袋とスタッフの数が足りなかった」と改善を望む声もあった。「うちわ祭りdeクリーンアップ2023」実行委員の生越康治さんは「清掃活動を通じ、この活動を長く続けている方々と、今回参加してくれた方々ともつながれた。学生が多く参加してくれて心強かった」と振り返る。「参加者の感想や意見を次回に反映できるよう、伝えていきたい」とも。

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