熊谷のこども食堂「熊谷なないろ食堂」(熊谷市石原、TEL 048-577-8578 )が12月21日、学習支援スペース「てらこや なないろ」を開設した。運営はNPO法人SK人権ネット。
目印は鉛筆のイラストと「てらこやなないろ」の文字がカラフルにデザインされた看板
場所は「なないろ食堂」の駐車場側道路を挟んで向かい。平屋建ての玄関前には、鉛筆のイラストと「てらこやなないろ」の文字がカラフルにデザインされた看板が立っている。靴を脱いで上がる室内は6畳と8畳のスペース。真新しい畳に長机3台とホワイトボード、押し入れを利用したカウンター4席もある。「自分専用の座布団を持ってきたらいいね」と言うスタッフによると、いち早く見学した子どもからは歓声と共に「今日からここで勉強したい」と声が上がったという。
同NPOは2018(平成30)年に「こども食堂」を開設。代表の山口純子さんは当初から食事支援と居場所作りだけでなく学習支援も必要と考え、学生ボランティアと共に食事終わりに宿題を見たり手話体験や室内遊びをしてもらったりしてきた。新型コロナ禍で状況は一変し、学習支援は一時ストップ。感染拡大防止のため施設内での活動は中止せざるを得なかった。「困っている人をどうにかしたい」とコロナ対策をしながら活動を続け、全国的に「こども食堂」一時閉鎖のニュースが流れる中、食堂での食事提供はは早い段階で弁当配布に切り替えた。新たに休校中の一時預かりのほか、フードパントリーも毎月1回開催し、食料や日用品など必要な人に配布している。フードパントリーを維持するために食品や日用品を募るフードドライブも行っている。
ストップしていた学習支援が動き出したのは夏ごろから。学生ボランティアの参加に合わせて少しずつ再開した。「三密にならないようなスペースを」と場所を探していたところ、持ち主の好意で新スペースを借りられることになり、資金を水戸証券熊谷支店が寄付するなど地元の事業所が協力。土壁を剥がし壁を塗る作業と空調設備は光和空調が提供した。看板は、デザインをインフォーシズ、製作を山本美創がそれぞれ担当。壁塗りなどリフォームの作業にはスタッフと学生ボランティアらも行った。
「信じられないタイミングの良さだった。次々と話が決まり、神様は見てくれていると思った」と山口さん。「念願の学習支援スペースをオープンできてうれしい。食堂と学習支援を一緒に取り組むことで『居場所』の意味合いが大きくなると思う。子ども食堂を利用していると周囲に言えない子どももいる。認知度を上げ内容を充実させて『てらこや、いいね、なないろ食堂いいね、私も行きたい』と言ってもらえるような場所を目指したい」と意気込む。「共有スペースなので、お互いに譲り合うなどのルール作りも進める」とも。
学習支援スペースの利用には子ども食堂の登録が必要。問い合わせは電話のほかSNSのメッセージでも受け付けている。