渋沢栄一の孫でエッセイストの鮫島純子さんの講演会が1月30日、熊谷市立文化センター文化会館(熊谷市桜木町、TEL 048-525-4553)で行われた。
創立30年を迎えたリーダーシップやコミュニケーション技術のトレーニングを提供する「ITC-J彩玉クラブ」が、男女共同参画の意識向上を目的に「熊谷市民公益活動促進事業」として企画。新1万円札の顔になる深谷市出身の実業家、渋沢栄一を祖父に持つ鮫島さんに講演を依頼した。
会場は新型コロナウイルス感染対策を講じて約200人が参加。鮫島さんは自身を「祖父の肌に触れた唯一の生き残り」と話し、「優しいおじいさん」だった渋沢との思い出をはじめ、心身の健康のために心掛けていること、戦時中の体験などを話した。質疑応答で旧渋沢邸「中ん家(なかんち)」(深谷市)で公開中の「渋沢栄一アンドロイド」について質問を受けると、「祖父にそっくり」と笑顔で答え、99歳の高齢ながら「後ろのお客さまの顔も見たい」と座らずに講演した。参加者からは「何事も全てに感謝する前向きな考え方を見習いたい」「元気をもらえた」「姿勢を正していきたい」などの感想があった。
講演に続いて行われた分科会では、「子育て支援」に池田良美さん、「社会参画」に里見絹子さん、「シニア世代の役割」に田部井義雄さんを講師に迎えた。参加者45人が各テーマに分かれて「コロナ禍で子どもたちの行動が制限されている状況」「難しくない社会への参加」「自治会活動や高齢者支援」などについて意見交換した。
同クラブ創設者の永井眞澄さんは「30年の節目に鮫島さんから心温まる話を伺えた。参加者皆さんの人生が充実するように願っている」と話した。メンバーの中島千尋さんは「分科会で出た意見は当クラブでまとめて市に要望を出すなど対応し、暮らしやすい街づくりに役立てたい」と話した。