地域の昔話を次世代へ伝える団体「忍の行田の『昔ばなし』語り部の会」が2月20日、創立10周年記念公演を行い記念事業出版本を行田市へ寄贈した。
同時開催した地元高校生のイラスト展。本の挿絵として採用している
行田とその周辺地域の民話や伝説を生の声で伝承しようと2012(平成20)年、市民有志が立ち上げた同会。会員はおよそ100人。公民館や小・中・高校、市内観光所などに出前公演を行うほか「語り部養成講座」も開講。現在は18人の語り部を中心に活動している。
創立10周年を迎えた同会は、記念事業として「行田の昔ばなし」81話を一冊にまとめた「忍の行田の昔ばなし」を出版。子どもたちにも読んでもらいたいと150冊を行田市に寄贈した。行田市が、市内の保育園やこども園、小・中学校、図書館、公民館などへ届ける。
出版本には旧忍藩領の話を集めた。行田市内の「忍地区」「行田地区」「佐間・埼玉・下忍地区」「持田・太井地区」「星河・星宮地区」「長野・太田地区」「荒木・須加地区」「南河原・北河原地区」などのほか「鴻巣・熊谷・その他」として成田や大原、筑波町、星川、妻沼、弥藤吾、吹上などの話も収める。巻末には昔話の分布図も掲載。語り部らは伝え聞いたことや歴史背景も交えて昔話を伝えている。
2月20日の寄贈式では、会長の福島伸悦さんが「10周年に向けて出版を準備してきた。前会長の永島健雄さんと皆さんの熱意が本出版につながった」と振り返り、石井直彦行田市長へ目録を手渡した。県立進修館高校(行田市長野)美術科の生徒らに依頼し40点を採用した挿絵のイラスト展も同時開催した。
福島さんは「生徒の皆さんには昔話を実際に読んで感じたイメージを自由に表現してもらった。昔話を次世代につなぐ活動で高校生と協働できたのは大きい。これからも地域の人に関わってもらいながらふるさとのルーツを次世代に継いでいければ。行田のまちづくりにもなるのでは」と期待を寄せる。