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熊谷の消防団と産婦人科医院が防災協定締結 災害時連携で課題解決図る

調印式の様子

調印式の様子

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 熊谷市の消防団「大井分団」(熊谷市大井)と産婦人科医院「さめじまボンディングクリニック」(同)が3月27日、「災害時における地域連携の防災協定」を締結した。

協定書に調印した「さめじまボンディングクリニック」鮫島浩二院長(左)と熊谷市消防団の石井豊大井分団長(右)

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 同協定は、災害時に同医院が所有するワンボックスカーを避難用に使うことや、炊き出し用設備や食材の確保、人員支援など、「人的、物的被害を最小限に防止し、地域防災力を向上」することが目的。同日行った調印式には、鮫島浩二院長と病院スタッフ、牧国夫熊谷市消防団長、大井分団員、熊谷市の渋澤健司消防長と高橋秀之危機管理監、沼上政幸熊谷市議会議員など関係者18人が出席した。自治体の消防団と民間の防災協定締結は熊谷市では今回が初めて。

 2019年、台風19号で地区を流れる荒川が危険水域に達し浸水の危険がある地域に避難指示が出たことを契機に、同分団では「高齢者など一時避難の手段がない人のために使える車があったら」と考えていたという。同医院では災害発生時のスタッフ不足が課題となる一方、自家発電や調理設備、技術はあるが、食材には限りがあるなどの課題も抱えていた。両者から相談を受けた沼上さんが間を取り持ち、今回の協定締結に至った。

 沼上さんは「日頃から院内の防災活動に積極的な医院と、農家が多く米や野菜など食材が豊富にある地域の相互協力で、人命救助のタイムリミットと言われる『72時間の壁』を乗り切れると考えた。協定を明確化してしっかりと災害に備えていきたい」と話す。

 鮫島院長は「浸水の危険が迫った時、防災の重要さを改めて感じた。当院は定期的に『防災マニュアル』を見直して備えているが、今後さまざまな災害を考えると心配もあった。お互いに足りない部分を補い合って連携できれば心強い」と話す。

 牧熊谷市消防団長は「クリニックに限らず、飲食店や企業とも協力体制をつくっていくなど、防災協定を市内全域に浸透させたい。官民一体で対応し地域を守れたら」と話す。「団員は非常勤で別に仕事を持っているため、市内34分団の人員は常に不足している。災害が起こる前の防災活動にも力を注ぎ、消防団活性化につなげたい」とも。

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