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熊谷で「こどもの権利を学ぶ講演会」 大人と子どもが一緒に学ぶ一歩に

末冨芳さんの講演を熱心に聴く参加者。熊谷駅ビルアズ6階プレイスホール内の様子

末冨芳さんの講演を熱心に聴く参加者。熊谷駅ビルアズ6階プレイスホール内の様子

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 「こどもの権利を大人も学ぶ講演会」が11月25日、熊谷駅ビルアズ(熊谷市筑波)6階プレイスホールで行われた。主催は熊谷子ども食堂ネットワーク。

こども基本法について説明する末冨芳さん

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 4月1日、子どもの権利を守る「こども基本法」が施行されたことを受け、「子どもの意見に耳を傾ける方法が分からないという大人が多い。子どもの意見を聞くためには、まず大人がこども基本法を学び、考えて行動する機会が必要」と企画した。

 当日は、日本大学文理学部教授でこども家庭庁こども家庭審議会分科会委員の末冨芳さんが「子どもも大人も育むこども基本法―子どもの権利・子どもの幸せ―」をテーマに講演。市内外から22人が参加した。

 冒頭、末冨さんは「子どもの権利条約(児童の権利条約)を知っていますか」と参加者に問いかけ、「子どもの権利条約には40の条文がある。世界中の子どものためにつくられ日本は1994(平成6)年に批准した。自分の気になる権利が1つでもあることがまずは大事」と呼びかけた。

 講演では、「子どもの権利の国内法が日本には必要」と、こども基本法を作る為に長らく奔走してきた背景について説明。「日本の子ども若者が幸せと感じるために『自分の幸せもみんなの幸せも大切にするルール=権利』と大人も子どもも知る必要がある」と強調した。こども基本法や子どもの権利について学ぶ方法を、自身の子育てやさまざまな自治体の取り組みを事例に解説し、「大人が子どもの権利を子どもに教え、一緒に学び合うことは、子どもの幸せの役に立つ。子どもは権利を知ることで、自分で自分を信じて、自由に考え、行動できるようになる。自分を守れるようになるだけでなく、困っている他の子どもも助けられ、SOSが出せるようになる」と話す。

 講演中にはグループワークを行い、「同条約や基本法で気になる権利を3つ選んでみよう」「付け加えるとしたら、どんな権利がいいか」と質問を投げかけた。市内在住の男性から「失敗できる権利をつけ加えたい」と意見があり、「安心して挑戦できる場の必要性」に話題が及んだ。

 末冨さんは「埼玉県は子ども・若者の居場所が多いので、さまざまな取り組みができる地域だと感じる。大人たちが子どもたちに安心と挑戦の循環をつくれているか問うことを忘れないでほしい。子どもの意見を聞く、遮らない、一緒に考える、子どもたちが挑戦する土台をつくる。子どもの人権や権利が尊重され、子どもも大人も幸せな社会をつくるために一緒に子どもの権利を学ぶことが重要」と説いた。

 市外で子ども食堂を運営しているという女性は「こども基本法を知る機会が大人に不足している。大人と子どもが一緒に学ぶことで人生が豊かになるのでは」と話した。

 同ネットワークの山口純子代表は「大人が子どもの権利を発信していかなくてはならないことを再確認した。子ども食堂は子どもの権利や子どもの幸せを守るための役割を担っているし、担えると思える話だった。個々の子ども食堂の関わり方も多様であっていい。課題もあるが、できることはまだまだあるという希望が持てた」と笑顔を見せる。

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