大手企業の開放特許を活用し、学生が新商品のアイデアを出す「学生アイデア発表会」が12月5日、さいしんホール(熊谷市本町)で行われた。
受賞式で、さいしんコラボ産学官の橋本義昭代表理事(左)と最優秀賞を受賞した埼玉県立大のチーム「きのりこまあむ」
埼玉県信用金庫がさいしんコラボ産学官と進める地域中小企業の育成と地域活性化を図る事業。7回目を迎えた今回は過去最多の5大学1専門学校20チーム計88人が参加し、最終発表会に臨んだ。
活用した開放特許は、パナソニックIPマネジメント、富士通フロンテック、富士通が提供する7件。参加チームは6月のキックオフミーティング、10月の中間発表会など約半年かけて支援企業や団体と協力し、準備してきた。
1チーム発表6分、講評3分のプレゼンで、アイデア発表と質疑応答が行われ、審査員から「着眼点が素晴らしい」「面白い発想」「よく社会課題を捉えている」といったアイデアを評価する声、「具体例がいい」「市場調査がよくできている」や「完成度の高いプレゼン」など、発表を評価する声が上がった。価格設定の理由や売り上げ目標など具体的な質問が投げかけられたほか、収益化やビジネスモデルについてアドバイスする場面もあった。
最優秀賞には富士通の芳香発散技術を活用した、「本を開くと香りがするブックカバー『YOMUKA』」が選ばれた。考案した埼玉県立大学のチーム「きのりこまあむ」は「絶対に賞を取るぞと思ってステージに立ったが本番では少しミスしてしまった。結果が出せてうれしい。早い段階からアイデアを具体的に進めてきたことが良かったのかも」「他のチームの発表を聞いて、みんな素晴らしい内容だったので不安だった」「ずっと前向きに3人で頑張ってきたのですてきな賞が取れてうれしい」と受賞を喜んだ。
埼玉県信用金庫の池田啓一理事長は「どのチームも開放特許に対する理解を深め、SDGsなども意識し社会的ニーズの高い素晴らしい商品アイデアを発表してもらった」と講評し、「本日の発表に至るまで、仲間と知恵を出し合い、課題に向き合う多くの時間があったと思う。この貴重な経験は、学生生活だけでなく社会人になってからも生かすことができると確信している」と話した。「学生アイデアは、特許保有企業や連携支援機関などと協力し、商品化、事業化を検討してもらえるよう提案を行っていきたい」とも。