
「熊谷空襲の日」の8月14日、ライブハウス「KUMAGAYA HEAVEN'S ROCK VJ-1」(熊谷市筑波)で音楽イベント「RISE ABOVE」が開催される。
深谷出身の別府伸朗さんが2017(平成29)年から熊谷の仲間と主催している同イベントは、コロナ禍による中止を挟み今年で9回目。総務省によると、熊谷空襲は終戦前夜の8月14日深夜から15日未明にかけて行われ、米軍のB-28爆撃機による空襲で266人が亡くなり、市街地の3分の2が焼け野原となった。終戦から80年の節目を迎える今年も、音楽を通じて平和の尊さと日常の大切さを問いかける。
イベントには地元出身のハードコアパンクバンド「LITTLE BASTARDS」をはじめ「SALVAASION 」(名古屋)、「SKYMARS 」(新潟) 、「バラナンブ 」、「KRISHNV」、「WITCHSLAUGHT」、「OUTBREAK RIOT」など、ヘビーメタル、ロックとジャンルはさまざま。若手からベテランまで6バンドが出演を予定する。
今回のポスターデザインに採用したのは、時計と女神像のモチーフ。当時火の手を逃れようと多くの人が飛び込んだとされる市の中心部を流れる「星川」いこいの広場にある北村西望作「戦災者慰霊の女神」と、空襲開始時刻の0時23分を表す時計の針が偶然重なって見えることから着想を得た。別府さんは「長崎の平和祈念像も手がけた北村西望は故人で真意は確認できないが、手の位置に意味を込める作家であることから、この偶然の一致にも深い意味があるのではないか」と話す。これまでは明確に戦争や平和へのメッセージを発信してこなかったが、世界で続くさまざまな争いや出来事に危機感を抱き、今年はあえて表現した。
「イメージを限定してしまうと、来場者が自由に平和について考えるきっかけを奪ってしまう。各自が思い思いに受け止めてほしい。イベントや熊谷を楽しんでほしい」と話す。「ライブを楽しみに来てくれる人が、それぞれ『なぜ熊谷で8月14日にライブが行われているのか』を考えてもらうきっかけになれば。それが平和というものでは」とも。
開催時間は16時~21時(開場は15時30分)。入場料は3,000円(要1ドリンクオーダー)。