NPO 法人「くまがや地域通貨研究会」(熊谷市柿沼)が10月13日、市内の児童養護施設で「イエローハンカチーフ・プロジェクト 2025」を行った。
2006(平成18)年に始まり今年で17回目を迎える同プロジェクトで、生態系被害防止外来種のセイタカアワダチソウを草木染する活動を通して生物多様性保全の大切さを伝えるとともに、立正大学の学生と児童養護施設の子どもたち、 ボランティアの大人が交流し、体験を楽しみながら互いに学び合う機会にもなっている。「2030年までに生物多様性の損失を食い止め、反転させ、回復軌道に乗せる」という国際目標「ネイチャーポジティブ」の認知度を高めることも目的に掲げる。
当日は子どもたちと職員のほか、草木染めの会(5人)、立正大学の学生(8人)、同研究会プロジェクトスタッフ(5人)など、総勢30人以上が参加。前日に採取したセイタカアワダチソウを広げて花を仕分けし、まきで火をおこして鍋をかけ、煮出した汁に布を浸して、草木染で黄色に染まったハンカチを園庭いっぱいに干した。どんぐりを使った遊び「どんぐりクラフト」では、それぞれが選んだどんぐりに顔を描いたり名前を付けたり、こまを作ってバトルしたり、洋服に付けて見せ合ったりする様子が見られた。今年は初めて「落ち葉のステンドグラス作り」も行い、子どもたちは皆、興味津々だった。
完成した黄色いハンカチは熊谷市内 4カ所の児童養護施設に進呈。今月25日には「ニャオざねまつり」出展ブースで配布する予定。
400枚のハンカチがはためく園庭で、同NPO代表理事の出浦尚明さんは「染めているシルク生地の入手が容易ではなくなってきている。資金面の課題もある。今後は開催方法を工夫して継続を模索していきたい」と話す。「子どもたちの体験、学生の学び、環境問題への貢献を続けたい。黄色いハンカチの景色と共に、一人一人の思い出になってくれたら」とも。
出浦さんは 2003(平成15)年に会を発足し、市民活動を活性化させるツールとして、市内の協力店で利用できる地域通貨「くまがやありがとう券」の発行を開始。「まちに良いこと」を推進するため、熊谷市内で社会貢献活動を行う団体のイベント参加者やボランティアに「ありがとう券」 を配布する活動のほか、どんぐりでクッキーを作るプロジェクトや、竹あかりを作ってキャンドルナイトをするプロジェクト、児童養護施設の子どもたちを対象にした自然体験活動などを行ってきた。出浦さんは「これからも、子どもたちへ普段の生活では得にくい体験の機会を、立正大学の学生にはサービスラーニングのような地域貢献と学びの場を提供したいと思っている。卒業生には活動体験を経て児童養護施設に就職した学生もいる」と話す。