熊谷市の夏の風物詩「熊谷うちわ祭」が7月20日に幕を開け、今年の祭り全体を統括する「年番」を務める銀座区の山車も出発した。
関東一の祇園祭と呼ばれる熊谷市八坂神社の例祭「熊谷うちわ祭」。熊谷次郎直実や素戔嗚尊の人形が立ち上がるなど豪華絢爛(けんらん)な山車や屋台が、にぎやかな熊谷囃子(ばやし)を鳴らしながら市街地を練り歩く巡行を中心に行う。あちこちでたたき合いも見せる。
江戸時代からの歴史がある同祭。天保の頃、祭りの期間中に赤飯を振る舞ったことから「熊谷の赤飯ふるまい」と評判になり、やがて「赤飯」から「うちわ」へ移って振る舞ったことが名前の由来という。
見所は、20日19時から行われJR熊谷駅を背に全区が横一列に並ぶ「初叩き合い」、21日の「巡行祭」と国道17号各所での「巡行叩き合い」、最終日22日の夜の、12の山車や屋台が「お祭り広場」に集まり四方からたたき合う「曳っ合せ叩合い」。ライトアップされた山車や屋台、夜空に響く熊谷囃子が、約75万人といわれる観覧者を圧倒し、祭りはフィナーレを迎える。
銀座区のおはやしは笛の音色が特徴的。地名の由来となった熊谷直実(くまがいなおざね)が登場する直実節をはじめ、童謡や唱歌、はやり唄と太鼓のリズムが調和する。出発前の山車の脇で笛の練習をしていた男子は「やっぱり笛はかっこいい。銀座区はたくさんの唄があるのでもっと吹けるようになりたい」と意気込む。
同地区のおはやしを担当するお囃子会の新島崇史さんは「皆この日のために練習してきた。年番ということで、子どもたちもいつも以上に楽しみにしている。どの子にも思い出に残る、いい祭りにしたい」と笑顔を見せる。