乳がんやがんの知識、検診の大切さを伝える「生命(いのち)の授業」が9月10日、行田市立中央小学校(行田市本丸)で行われた。主催はNPOくまがやピンクリボンの会。
会代表の栗原和江さんが乳がんにかかり切除手術を受けた翌年の2008年、同じ悩みや不安を抱えるがん患者仲間7人で結成した同会。乳がん検診受診率の向上を目標に早期発見、早期治療を訴える。2014年から始まった「生命(いのち)の授業」は、熊谷市・行田市の小中学校を中心に生徒や保護者、教職員や企業の社員に向けて県内各地で開かれ、昨年度までの4年間で135回行った。本年度は53回を予定、学校や企業、団体などから授業依頼がある。
授業に参加したのは6年生72人。はじめに、栗原さんが自身の体験を交えながらピンクリボンや乳がん、がんの原因や治療法について話し、イプというがんの大きさと硬さが体験できる模型を全員に回した。手にした児童らは感触を確認しながら「すごく固い」「木の実みたい」と顔を見合わせていた。次に、乳がんと闘病中の根岸友香さんが自身の体験や現在も治療を続けていることなどを話し、実行委員の笠原洋子さんが、小児がんで7歳の娘を亡くした会員の話を代読した。根岸さんは「私は自分の体を大事にしていなかった」「皆さん、がんにならないために日頃の生活習慣をしっかり見直してください」と伝えた。
小児がんで7歳の子を亡くした話を聞いて、子どもと母親の気持ちを知ったという児童は「とても心が痛んで、一日一日を大切にしようと思った」と話し、祖父母ががんで亡くなっているという児童は「悲しくて苦しくて『何でがんになっちゃったの』と何回も思ったけど、今日の話を聞いて感動した。絶対にお母さんお父さんに伝えたいと思った」と話した。
栗原さんは繰り返し「家に帰ったら、お家の方に今日のことを話してほしい」と児童らに伝えた。授業では、がんや検診、生命について家族で話し合う機会を設けることで、子どもから父母や祖父母へ「がん検診」を勧め検診率を向上させる狙いもある。