煎茶のテークアウト専門店「108 ocha stand(いちまるはち お茶スタンド)& share space トナリノ、(シェアスペーストナリノ、)」(熊谷市鎌倉町)が8月23日、17号国道沿い、八木橋百貨店の向かいにオープンした。
以前パン店と和菓子店だった場所。白い外壁に緑色で「コッペリア」「梅月堂本舗」と書かれた看板や入り口の自動扉、2つに仕切られたフロアなどはそのままに、煎茶のテークアウトができる「お茶スタンド」と「シェアスペース」として生まれ変わった。
熊谷市に設計事務所「08studio一級建築士事務所」を構える八木重朝さん、奈都子さん夫妻が営む同店。仕事で新築を手掛けることが多い中、「新しいものを作るだけでなく、今は使われていないが利用価値のある場所を生かしたい」と店舗オーナーへ活用を提案し、時間をかけて対話を重ね改装の承諾を得た。重朝さんは「何度も話を聞いてくれて、この場所を開けてもらうことに温かく接していただいたオーナーに出会えたことは奇跡だった」と振り返る。
白木のカウンターが目を引く「108 ocha stand」は煎茶をテークアウトで提供。メニューは「煎茶」冷(350円)、温(300円)のほか、「一煎パック」(220円)など。もともと日本茶が好きで「いつか『お茶カフェ』を始めたい」と思っていた八木さん。単一品種の茶葉を数種類用意する。
奈都子さんは「コーヒーにスペシャルティーコーヒーがあるように、煎茶にもシングルオリジンと呼ばれる単一農園、単一品種の茶葉があり、それぞれに個性があって味わい深い。ペットボトルのお茶が手軽に買える今、急須からお茶を入れる人は少なくなっているかもしれないが、急須でなくても一煎ずつ入れるお茶のおいしさを知ってもらえればうれしい」とほほ笑む。「一日に数分でも、お茶を楽しむ時間が日常を豊かにする。知れば知るほど奥が深いお茶の楽しみ方を伝えたい」とも。
「share space トナリノ、」は約25平方メートルのフロアを1時間(500円)から利用することができるシェアスペース。店名「トナリノ、」には使い方次第で「隣の、」に続く何かが自由に変えられる「自在な余白」という意味が含まれている。
「ジャンルを問わずいろいろな人にいろいろな発想で使ってもらいたい」と重朝さん。「自分の趣味をレベルアップさせて販売したり、仲間とマルシェを開いたりしてもいい。何か始めたいと思った人チャレンジしたい人を応援する。思い立ったら相談してほしい」と話す。「空き店舗は負の資産ではない。人が集まり、何かが始まって人の輪が広がれば、価値のある場所になる」とも。
奈都子さんは「お茶全般を妻沼の老舗茶店『西田園』、ほうじ茶専門店『焦がし屋武一』にサポートいただき、店舗ロゴや伝統工芸品「熊谷染」の型紙をあしらったラベルは市内外で活躍する「AK・design」に依頼し、DIYでもたくさんの方の協力により開店できた」と笑顔を見せた。
営業時間は10時~17時。