深谷市出身のシンガー・ソングライター「topaz(トパーズ)」さんのシングルCD「これから/光の中へ」が3月20日、ライブイベント「深谷isバーニング」で先行発売された。
バンド活動を経て2013(平成25)年からソロ活動を始め、年間50~60本のライブを行っていたtopazさんは今年2月11日、鉄道ホームからの転落事故で亡くなった。
topazさんの魅力について、レコード店「モルタルレコード」(熊谷市筑波)店主の山崎育宏さんは「ハイトーンボイスで、メロディーとコード進行が聞く人の心に届き、気づくと口ずさんでいるようなポップさがある」と話す。CDのディレクションを担当した音楽バンド「ロストインタイム」元メンバーの榎本聖貴さんは「自らの経験や、自分を見つめる中で気づくことを題材にした曲が多い。それを声高に叫ばないため、結果的に聞く者にメッセージとして伝わる」と話す。
榎本さんは「CDの制作は以前から進めていた。topazが長年温めてきた自信作。今秋に完成予定だったアルバムに先掛けてリリースしようということになり、2月18日に最終調整をするはずだった」と話す。CDは残されたレコーディングデータを元に制作した。山崎さんは「CDが完成するまでの1カ月間、topazの気持ちに近づこうと仲間で話し合いながら作った。音楽配信だけのつもりだったが、故人の想像を超えたCDとして残したかった。初の全国流通もあるので天国で喜んでくれればうれしい」と話す。
亡くなる前日、モルタルレコードで行われた榎本さんと伊藤サチコさんの夫婦デュオ「huenica」(フエニカ)のライブに参加したtopazさん。榎本さんによると、打ち上げ後はいつもと変わらない様子で「音源完成よろしくお願いします」と話し、駅まで歩いて行ったという。
CDの先行発売が行われたのは深谷市出身のtopazさんと山崎さんが「ライブハウスが無い街にも音楽を」と2017(平成29)年から開催していたライブイベント。当日はtopazさんと親交のあった8組のアーティストが出演し、100人以上の観客が集まった。
シンガー・ソングライターの三上隼さんは「(topazさんは)いつも深谷のことを話していた。それだけ地元への思い入れが強かったのだろう」と振り返る。topazさんの曲をカバーした榎本さんは「もう生の歌声を聞くことはできないが、CDでたくさんの人に届けることができる。時代を超えてtopazの音楽はずっと残るはず」と話す。
価格は1,200円。モルタルレコードのほか、4月22日から全国のCDショップでも販売する。