熊谷の和菓子店「かんだ和彩」(熊谷市鎌倉町2、TEL 048-514-9214)が11月27日、5周年を迎える。
11月の上生菓子『霜落葉(しもおちば)』。器はこの菓子のために作られたガラス作家「せきゆうこ」さんの作品
店主の神田武治さんは京都で修業し、2015(平成27)年に地元熊谷で店を開いた。抽象的で削り落とす表現を好む京菓子の魅力を伝えたいと、練り切り製やういろう製など月替わりで並ぶ新作和菓子「上生菓子」をはじめ、国産の米粉でやわらかく作る「炙(あぶ)り団子」(83円)や、硬さとコシが特徴の「絹練りわらび餅」(370円~)、さつま芋餡(あん)やリンゴ餡など変り種も登場する熊谷産小麦で作る「どら焼き」(140円~)、季節の和菓子、寒天ゼリーなどそろえる。店内に6席のイートインスペースも用意する。
神田さんは「開店当初は店を知ってもらおうとさまざまなイベントに出店し試食やチラシを配った。食べてもらえれば分かってもらえる自信があった」と振り返る。写真を工夫したりクーポンを付けたりして出会う人にチラシを手渡す一方で、ウェブサイトやブログを更新しSNSで積極的に情報発信した。思い立ったら気分で作る「気まぐれてんちょー」シリーズの和菓子や曜日限定の豆大福、「水無月(みなづき)」「花びらもち」「月見だんご」など季節や行事にまつわる菓子を伝える投稿は特に反応があり、近隣だけでなく県外からも「探していた」と来店客がある。神田さんは「3年目あたりから『八木橋の前のお店ね』とイベントで当店を知っている方に声を掛けていただけるようになった」と話す。
独自性を大切にしてきた神田さん。以前は自分の中にあるものを出していくことに重きを置いていたが、最近は他業種とのコラボレーションも積極的に行っている。ガラス作家「せきゆうこ」さんの器と菓子を合わせたり、イラストレーター「ことな」さんにステッカーをデザインしてもらったりした。「熊谷のみんなには笑っていてほしい」の稲垣ポスターには自身の笑顔を当てはめて店内に貼り出した。神田さんは「コラボすることで自分の中だけでなく、その先に広がりがあることに気が付いた」と話す。「まだまだ試してみたいことがある。他の人がやっていないことをやってみたい」とも。
5周年を記念してラジオ特番にも出演する。コロナ禍で自粛が続いていた際、ラジオを通じて盛り上がる地元のコミュニティーFMを聞き「人を集めずに、ラジオを通じてたくさんの人が楽しめる、良いメディアだと思った」と話す。21日のラジオ特番では番組放送中にメッセージを送った人全員に「かんだ和彩オリジナルステッカー」を送る。
神田さんは「オープンから5年。来店していただいた方の口コミやSNSの投稿など、おかげさまで少しずつ認知されてきた」と感謝を口にする。コロナ禍にあっても「母の日や月見など予想以上に来店されるお客さまが多く、当店の和菓子や買い物すること自体が求められていると感じる」と話し、今後について「接客にも力を入れて店のファンを増やしたい。人を育てて、自分の持つ技を伝えていきたい」と笑顔を見せる。
11月21日には数量限定で「気まぐれてんちょー」シリーズを販売。22日にはFMラジクマくんの和菓子も販売する。現在、来店者にイラストレーターの「ことな」さんとコラボした塗り絵シールを無料配布している。
営業時間は10時~17時。水曜定休。