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熊谷で立正ブランド日本酒「立咲」 大学生がデザイン、オンラインで

2022年に開校150周年を迎える、立正ブランドの日本酒「立咲」(りっしょう)

2022年に開校150周年を迎える、立正ブランドの日本酒「立咲」(りっしょう)

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 立正大学の学生がデザインした日本酒「立咲(りっしょう)」が3月31日、熊谷市の権田酒造(熊谷市三ケ尻、TEL 048-532-3611)から発売された。

zoomミーティングの様子

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 同大と権田酒造が2013(平成25)年から行っている研究推進・地域連携センタープロジェクトの一環。学生たちに、ものづくりの現場を経験してもらうことで「他者と一緒に目標を達成する力」や「人間力」を伸ばしてもらう狙いがある。同酒造で日本酒について学び、商品コンセプト、商品名を考え、ラベルデザイン、日本酒のブレンドまで行い、これまでに15種類の「オリジナル日本酒」を製造してきた。

 2020年度は新型コロナウイルス感染症の影響で、大学の授業は大部分がオンラインで行われ、課外活動は自粛となっていた。同プロジェクトはオンライン会議システム「Zoom」を取り入れ、対面でのミーティングと日本酒のブレンドは行わず、安定して供給するために同酒造の既存ラインアップから1本を選びコンセプトを立案、商品名、正式な大学ロゴ入りラベル・チラシデザインを制作して商品化。大学公式グッズとして通年販売する。

 昨年12月から4回にわたって行われたオンラインミーティング。集まった5学部8人の学生と杜氏(とうじ)、利き酒師、デザイナーなど専門家が画面越しに意見を交換した。初回のオリエンテーションでは日本酒の製法や各商品の特徴、日本酒業界の動向やマーケティングなどを学び、2回目は事前に配布し試飲した既存商品から「大学ブランド」にふさわしい1本を選定。担当ごとに商品名とラベルとチラシデザイン案を作成し完成させた。

 同酒造の既存商品、「吟醸」「純米」などタイプの異なる5本から学生が選んだのは、熊谷産の酒米「さけ武蔵」を使った「特別本醸造」。参加した心理学部2年の本間巽さんは「いろんな方が飲みやすいように、コクがあってすっきりとした後味で、どんな料理にも合う。フルーツと合わせてもおいしく飲んでもらえるのが私の推しポイント」と話す。選定後に決まったコンセプトは「日常の中で気軽に手に取ってもらえるような日本酒」。

 商品名は「立咲」。「どんな時でも立ち上がり、己の花を咲かせることができるように」との願いを大学名に掛け、瓶の色にはスクールカラーの「すがすがしい青」を採用した。デザインを担当した社会福祉学部3年の丸山諒さんは「熊谷キャンパスの桜がモチーフ。アシンメトリーに裏まで伸びるデザインで、意外な印象を与えたかった」と話し、アドバイザーとして参加したデザイナーの後藤新吾さんは「学生には単にビジュアルを作るという工程だけでなく、買い手などを意識したデザインになるよう、思考や購買プロセスにも触れてもらった。学生らしい発想とこだわりのあるラベルになったと思う。市場の反応が楽しみ」と期待する。

 本間さんは「最初は意思疎通ができるか不安や心配が大きかった。大学設定のミーティングでは時間が足りないので、学生だけのLINEグループを作成。日程調整機能を使って集まり、ZoomやTeamsを使ってミーティングした。回数が増すにつれ意見が活発になり、自主的に考えて行動するようになるのを実感した。初めての全オンライン制作は、新鮮な体験で楽しかった」と振り返る。文学部2年の山田優菜さんは「自分の主張をうまく伝えることなど苦労もあったが、それ以上にものを作り出す経験を積めて有意義だった」と話す。丸山さんは「よりよいものを作ろうと全員が考え進めた経験は、これから先にも役立っていく。コロナ禍でも人と関わる大切さを実感した」と話す。

 利き酒師の兵道俊美さんは「若い世代が日本酒のプロジェクトに真剣に取り組んでくれていたことが、日本酒を普及していく者として心強い」と話し、杜氏で権田酒造社長の権田清志さんは「オンラインでもうまく進んだが、来年はやっぱり一緒に飲みたい」と期待を込めた。同センター担当の折原康太さんは「オンラインという制約があったが、大学ブランド商品の誕生につながってよかった。来年は開校150周年を迎える。地元企業の商品力と学生のアイデアが詰まった1本を多くの人に手にとってもらうため、いろんな販売方法を考えたい」とアピールした。

 価格は720ミリリットル=1,500円。

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