6月上旬に開店予定の棚貸し書店「太原堂(たいげんどう)」(熊谷市本町)が5月8日、プレオープンした。
昭和の面影を残す「太原堂」外観。プレオープンでは店の前で来店客同士が語り合う場面も
熊谷の星川と国道17号の中間、大露路商店街と南本町商店街の交差点角にあり、昭和の面影を残すノスタルジックな同店。約2年前まで毛糸店だった店舗を店名もそのまま使い、毛糸が並んでいた陳列棚を90センチ×37センチの40区画に分けて本や雑貨を販売したい人に貸し出す。借り手となる棚のオーナーは、自分の「お薦めの本」などを自由に並べ「BOOK APARTMENT(ブックアパートメント)」として棚の一つ一つが小さな書店になる。
「他の人にも読んでもらいたい『お薦めの本』、何かに特化するなどテーマを持った本を並べて、自分を表現する場所」として、1年契約、1区画月額1,000円で出店者を募集。現在、移動書店を営む店や絵本のセレクトショップなどのほか、趣味の本を出品する個人など15店が出店。花やDIY、日本史関係など多種にわたり、猫の絵本と共に猫雑貨を置くなど、それぞれ個性を生かしてレイアウトした本棚が並ぶ。自分で書いた絵本やエッセー本を販売する出店者もいる。「熊谷市立図書館」から月ごとのテーマに沿って常時50冊ほどを借り受け、貸し出しにも対応する。
同店は、昨年行われたまちづくりプロジェクト「熊谷・街・妄想ワークショップ」に参加した大学生、白根拓実さんの発案で生まれ、ワークショップ関係者の協力を得て実現、共に運営する。店主を務める白根さんは「大学で都市計画を学んでいて『まちづくり』に興味があり、学生のうちに町おこしに関わりたいとワークショップに参加した。空き店舗だった『太原堂』を見学した際に『この棚に本を並べたら良い空間になると思い付いた』と話す。白根さんの誘いを受けて運営に加わった穀田武人さんは「計画に共感し、ぜひ協力したいと思った。店や今日のプレオープンのようなイベントを見て『楽しそう、自分も何かの形で参加したい』とまちづくりに関心を持ってもらえれば」と話す。店の外観と店内の雰囲気に合わせ、床や机、照明、入り口の看板は、2人が手作りで仕上げた。
当日は出店者のほか、SNSを通じて興味を持った人や、通り掛かった市民などおよそ50人が本棚を見たり、スタッフに質問したりする姿があった。妄想ワークショップの参加者でコーヒーの魅力を伝えようとイベントを中心に活動する安藤理布さんと山藤優花さんによる女子大生バリスタユニット「RitoU(りとゆう)」が来店客にウエルカムコーヒーを提供した。
白根さんは「本棚のオーナーさんと力を合わせて良い店を作り上げていきたい。お客さまが本を通じて同じ趣味の人を見つけたり、つながりを持てたりとコミュニティーが生まれる場所にもしたい」と意気込む。「本屋に限らず『空き店舗だった太原堂』が開いていると認知されることにより、他の空き店舗を使いたい人が増えたら街の活性化につながると思う」とも。
営業日はツイッターとインスタグラムで知らせる。