熊谷市の「芋屋TATA」(樋春)に6月1日、養豚農家による豚専門店「URENAINOBUTA」(売れない野ブタ)と芋とバナナの専門店「BATATA」が期間限定でオープンする。
農作業期のため店舗休業中の「芋屋TATA」店内に2店同時オープンする
「カッコいい農業」を理念に掲げ、後継者不足に悩む農業を「食を守る魅力ある職業」「若者が憧れる職業」にすることを使命としている「芋屋TATA」(TATAGREEN)の坂井孝行社長。これからの農業を担う若者を育てるプロジェクト「FARMERZOO(ファーマーズー)」の一環で、店内を「チャレンジの場」として提供する。
「URENAINOBUTA」(売れない野ブタ)は、養豚農家の2代目、齋藤伊織さんが開く。養豚農家に生まれ「豚たちに生かされている」ことを誇りに思い、豚をおいしく食べてもらうために「6次産業」を学びたいとTATAの門をたたいた。店名には「売れない野ブタは決して作らない」という強い意志を込め、TATAスタッフの意見を聞きながら商品を開発、準備を進めている。メニューは真っ黒なフランクフルト「スティックピックポック」(1本=216円、5本=540円)や豚肉とココナツミルク、TATAの焼き芋を入れスパイスを利かせたコラボカレー「UREBUTATAカレー」(680円)、カリカリベーコンと甘い焼き芋を合わせたカレー風味の「UREBUTA焼き芋サラダ」(270円)。7月に新商品も予定する。齋藤さんは「販売を通じて、皆さんにあまり知られていない養豚のことを伝えたい。周囲がまねしたくなるようなかっこいい養豚農家になって、養豚のイメージを変えたい」と意気込む。
「BATATA」は、「農業で世界の人たちを驚かせたい」と坂井さんを訪ねて来た中島大貴さんが開く店。国内で数少ないバナナの6次産業化に注目し、熊谷でバナナを育てる試みを始めた。メニューは温かいバナナと冷たいソフトクリームに黒蜜きな粉をトッピングした「ONBATATAソフト」や、フレッシュバナナとBATATAジャム、BATATAソフトを組み合わせた「生BATAソフト」(以上518円)、焼き芋とバナナペーストで作る「BATATAソフト」「BATATA ミルク」、滑らかに仕上げた「BATATAプリン」「BATATA ジャム」(以上378円)、「BATATAクッキー」(216円)など。中島さんは「『日本の農家ってかっこいいな』と憧れられる存在になって、世界規模で新しい農業の仕組みを作りたい」と目を輝かせる。
2人はオープン前から準備の様子をインスタグラムに投稿し、今の自分たちを伝えてきた。「フォローしてくれてうれしい。応援してくれる皆さんの期待に応えたい、今後も取り組みを発信していきたい」と声をそろえる。
TATAの坂井さんは「彼らは今、自分をプロデュースする時期。ここでの販売や接客を通じてさまざまなことを経験してほしい。『この人の目標を見守りたい、応援したい』と思ってもらえるような人になれれば」と期待する。「これまで海外へ目を向けてきたが、コロナで難しくなり、新たな取り組みを考えていたところに2人がやってきた。タイミングの良さに驚いた」とも。
営業時間は10時~17時。木曜定休。8月31日まで。現在はテークアウト販売のみ。