イラストレーター「ことな」さんの作品展「ことな展」が7月14日、八木橋百貨店(熊谷市仲町、TEL 048-523-1111)5階アートサロンで始まった。
ことなさんは熊谷市生まれ。小さい頃から絵を描くことが好きで、社会人として働きながら描き続けていたという。20代の頃に父親が病で急逝、突然の別れを経験し「人生は一度きり、自分のやりたいことをやろう」とイラストレーター・挿絵画家として独立した。雑誌や刊行物、広告のイラスト、絵本や本の挿絵を手掛ける傍らオリジナル作品も発表。「ゆるキャラ」もその一つで、特に熊谷市のマスコットキャラクター「ニャオざね」は市民に親しまれ関連グッズも多い。
以前から定期的に行ってきた作品展。同店8階のギャラリーで開いたこともあるが、5階アートサロンでの開催は初めて。毎回展示していたという雑貨類などは展示せず、「絵だけの作品展も初めて」という。北側エレベーター近く、広さ約77平方メートルの落ち着いた雰囲気の同サロン。ゆっくりと絵を楽しみながら作品の世界観を感じることができる。
展示作品は62点。コロナ前から描いていた作品やコロナ禍による自粛生活で描いた「アマビエ」、コロナ収束や日常生活への「願い」のほか、手を広げて飛んでいるような雲を見て描いたという作品、一筆書きの横顔、自分の内面を見つめる言葉、「ニャオざね」や「深谷ねぎ」にまつわるものも並ぶ。全て販売し、初日から「売約済み」の印が付いた。
「インスピレーションを受けて筆が自然に動く」という作品は、ペン画にベージュや黄色、ピンク色など優しい色合いのパステルカラーを乗せ、絵と一緒に寄り添うような「言葉」を描くものも多い。ことなさんは「朝起きた時、食事してぼーっとしている時、ふとした瞬間に『降りて』くる。言葉だけで何冊も書きためている」と話す。絵と言葉、どちらを先に描くというものではなく、「この言葉にはこんな絵」と自然な感覚で組み合わせているという。
来場した30代男性は「絵はもちろん、心に響く言葉もいい。普段、何気なく皆が感じていることや思っていることが作品に表現されていて、すっと自然に入ってくる感じ」と話す。ことなさんは「コロナ禍でイベントや作品を発表する機会が少なくなっているが、描いたり表現したりすることは自分の使命だと思っている。皆さんに絵を見ていただき、癒やされてほしい」とほほ笑む。「これからも変わらず自然体でいたい。好きな絵を描くことができる平和な世の中であってほしい」とも。
開催時間は10時~18時30分。今月19日まで。