熊谷市立妻沼小学校(熊谷市妻沼)で11月27日、地域の祭り「めぬま祭り」で知られる「練り込み囃子(はやし)」の演奏が行われた。
児童らと一夜限りで集まったメンバーらが練り込み囃子を演奏した
地域と共に子どもを育てる活動「めぬまっ子スクール」の一環。以前から防災学習や農業体験、宿泊イベントなどをPTA役員や「おやじの会」、ボランティアらが季節ごとに行ってきた。新型コロナウイルス感染症の影響で昨年に続き今年もイベント中止が相次いでいることから、子どもたちに祭りの雰囲気に触れてもらおうと学校OBら地域住民が企画した。
当日は事前に募集した48人の児童が集まった。日中からゲームや遊びを楽しみ、カレーを食べ、キャンプファイアの火を囲んだところで突然太鼓の音が鳴り「妻沼小」のちょうちんと共に「練り込み」の「連」が登場。「練り込み囃子」を伝承する「妻沼天鼓会」のメンバーと一夜限りで集まった同校卒業生や地域住民らが「連」を作り火の周りで「練り込み」を行った。歓声を上げて喜んだ子どもたちは興味津々で「連」の周りを取り囲み、「太鼓をたたいてみたい人」の呼び掛けに応え、団扇のように丸く軽い太鼓「柄付け太鼓」をたたいて輪に加わった。
熊谷市合併前の旧妻沼町で1992(平成4)年に始まった「めぬま祭り」は、「町で祭りを作ろう」と町民らが立ち上げた地域の祭り。中でも人々が「連」になって笛、かね、太鼓、独特のリズムと掛け声で踊る「練り込み囃子」が祭りの最後を飾り盛り上げる。妻沼天鼓会会長の飛田高男さんによると「多い時は400人もの人が連を作り練り歩いた」という。今回小学校を通じて依頼があり同会メンバーを中心におよそ30人が集まった。飛田さんは「ほとんどの子どもたちが太鼓を持ってたたいてくれてうれしかった。大人になって『あの時にたたいた太鼓』という思い出から祭りに興味を持ってもらい、祭りの担い手になってもらえれば」と話していた。
熊谷市指定無形文化財に指定されている「妻沼太鼓」。同校では以前から地域の伝統文化に親しんでもらおうと「練り込み」を5、6年生の授業に取り入れ運動会やイベントで披露している。清水修校長は「表現運動として取り入れている妻沼太鼓だが、コロナ禍で2年途絶えて在校生は経験していなかった。貴重な体験で子どもたちの楽しんでいる様子が見られたのが何よりもうれしい。妻沼は地域の方のバックアップが素晴らしく、卒業生に呼び掛ければすぐ応援に来てくれるという協力体制も良いところ。今後もコロナ禍でもできる方法を考え対策しながら、子どもたちになるべく普段と変わらない生活を過ごしてもらいたい」と話す。運営委員長の平澤和夫さんは「2年続けて宿泊イベントができずにいたが、子どもたちの心に残る何かができればと思っていたので、今回開催できてよかった」と、ほっとした表情を見せた。