熊谷の酒蔵「権田酒造」が市内八木橋百貨店(熊谷市仲町)で現在、グライダー漫画「ブルーサーマル」とのコラボ商品を販売している。
「ブルーサーマル」は、熊谷市妻沼のグライダー滑空場をはじめ同市地域が登場するスポーツ青春物語(小沢かな/月刊コミック@バンチ連載中)。5月に4巻の発売を予定する。
同酒造は江戸時代から続く老舗酒蔵。酒造りに適して良質で豊富な地下水と良米を産出する土地柄、江戸初期から中山(なかせん)道の宿場町として栄え、消費地の江戸とは荒川・利根川の水運でつながっており流通面での利便性が高いこともあり酒造りが盛んだった背景がある。
同酒造では酵母の特性を生かした穏やかな芳香、爽やかなうま味、深い味わい、豊かな風味とさまざまなうま味のある酒が造られ、源平合戦にも登場する「熊谷次郎直実」の名前に由来する「直実」の名を冠し、蔵出し生酒、搾りたてから秘蔵の1965(昭和40)年醸造古酒まで、地酒蔵ならではのさまざまな味わいの商品を用意する。
販売は7階の催事場「埼玉よいもの市」。ブルーボトル吟醸(500ミリリットル、1,296円)、ブルーサーマル生酒(720ミリリットル、1,080円)ブルーサーマルはちみつ梅酒(500ミリリットル、1,350円)のほか、「にゃおざね」カップ酒、しぼり酒も販売する。4月9日・10日限定で試飲販売も。
同商品は、同酒造の権田幸子さんが漫画を読み地元の風景が表情豊かに描かれた作品に引かれファンになったことがきっかけ。権田さんは「地元熊谷に県内外からたくさん集まってもらいたいとい思い、PRできる商品を探していた時に、この漫画に出合った。アニメ好き、グライダー好きな方はもちろん、日本酒を飲んだことのない人も手に取ってほしい」と話す。「埼玉は県を挙げてアニメに力を入れていて酒造業界ではコラボ商品も多く存在したので始めやすかった」とも。
学生の友情と酒商品とのコラボは異色だが、最新刊の3巻で「初飲み」と題して主人公が成人し初めて酒を口にする場面も登場するなど、酒との出会いや付き合い方を考える機会を与えている。権田さんは「若者の酒離れ日本酒離れが進む中、漫画によって親しみやすさが増し日本酒人口が増えてくれれば」と期待を込める。
熊谷市産業振興部商業観光課の担当者は「地元民には思わず声が出てしまうくらい、熊谷市内の飲食店や風景がそこかしこに出てくる。めぬまのグライダー滑空場を軸に観光スポットができてうれしい」と話す。「航空部OGの作者小沢かなさんが度々市内を訪れてくれることも感激」とも。
営業時間は10時~19時。4月10日まで。