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熊谷出身の画家・山下仙之助、没後30年記念講演会 ひこ孫が紹介

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 熊谷市出身の画家・山下仙之助の生誕120周年、没後30年を記念した講演会が5月26日、熊谷市奈良公民館(熊谷市下奈良)で行われた。

講演会で曾祖父の仙之助を語るひこ孫

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 山下仙之助(1902-1992)は、現在の熊谷市上奈良に生まれた。埼玉県立熊谷中学(現在の熊谷高校)の美術教師時代に埼玉県初の洋画団体「坂東洋画会」を発足した画家の大久保喜一(1885-1984)の薫陶を受けて同会に入会。戦後、埼玉県立浦和高校美術教師として後進の育成に励む傍ら、坂東洋画会を継承した「朱麦会」をはじめ、中央画壇の「白日会」などで活躍した。セザンヌなどポスト印象派の研究に基づいた独特の画風を確立し、日常を題材とした静物画と、自宅近くの集福寺などを写生した風景画を数多く残している。

 講演会には市内外から20人が参加した。仙之助のひこ孫の学芸員が講師を務め、画家の人生や技法と特徴などについて解説。今年3月刊行の画集「山下仙之助-日常の美と印象派の系譜」に掲載した約20点を紹介し、美術史家で大原美術館(岡山県倉敷市)高階秀爾館長の監修であることや、図版の編集に立正大学研究推進・地域連携センター(熊谷市万吉)とアルスコンピューター専門学校(鎌倉町)が協力したこと、埼玉県立熊谷図書館や熊谷市立図書館などで閲覧できるほか、市内の文化財などの情報を紹介するネット上の博物館「熊谷デジタルミュージアム」でデータを公開していることなどを紹介した。

 会場には、1941(昭和16)年に自宅を描いた油彩「夏の裏庭」を展示した。学芸員は「仙之助が描いた絵画には、日本の美術史とフランス絵画を研究した丹念な技が注ぎ込まれている。温かみのある絵画の技法を今後も発信していきたい」と話す。

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