秩父鉄道(本社=熊谷市)の駅に2月3日、鬼が現れた。乗客たちが豆をまき、追い払った。
豆まきの後、鬼と乗客が記念撮影したりハイタッチしたりと触れ合う姿も見られた
線内の4駅に現れる鬼を豆まきで退治するのは、節分に合わせて運行しているイベント列車「節分豆まきトレイン」の乗客に楽しんでもらう趣向の一つで、運行は、秩父鉄道が節分の伝統行事に親しんでもらおうと企画。2018(平成30)年から運行し、毎年100人以上が乗車しているという。一昨年と昨年はコロナの影響で中止。今年は3年ぶりの運行となった。
通常は降りることができない臨時ホームも含め4駅のホームに赤鬼と青鬼が登場すると、乗客は「鬼は外、福は内」と声を上げながら、鬼めがけて豆を投げた。乗車していた子どもの中には、泣き出す子や声も出せずに後ずさる子も。「怖い」と言いながらも果敢に豆を投げる子もいた。始めは抵抗していた鬼も豆まきを受けて徐々に静かになり、豆まきの後は乗客との記念撮影に応じたりハイタッチしたりして触れ合う姿も見られた。ちちてつ応援コンシェルジュの吉田香さんは「3年ぶりに参加できてうれしい。臨時ホームで豆まきができたことは鉄道ファンにとってもありがたい」と話した。
臨時で熊谷~秩父間を走った同列車には特別ヘッドマークを掲出。乗客に特別乗車記念証と福豆を進呈した。出発前には熊谷駅改札前で恵方巻の特別販売も行った。秩父鉄道企画部の春山彩花さんは「ファミリーで楽しめる人気のイベント。秩父駅までに合計26体の鬼が現れ、途中で鬼が同乗した区間はさらに盛り上がった」と話す。