ブドウの栽培からワインの仕込みまで行う年間講座「d SCHOOL わかりやすい武蔵ワイナリー 福島塾」が2月16日、始まった。
ワインや日本酒の販売のほかイベントやワークショップも行う武蔵ワイナリー醸造所・販売場
武蔵ワイナリー(小川町)は、完全無農薬で育てたブドウで酸化防止剤や培養酵母、おり引き剤を添加しないワイン造りに取り組むワイン醸造所・販売所。醸造家の福島有造さんは2011(平成23)年に小川町でブドウ作りを始め、2019(平成31)年に醸造所を完成させた。約5ヘクタールのブドウ畑を所有し、小公子をはじめヤマソービニヨン、メルローなどを栽培する。小川町のワイン祭りも主催している。
ロングライフデザインをテーマに、その土地に根差した活動を応援するD&DEPARTMENT SAITAMAが、1年かけてワイン造りを学び、生産者に直接指導してもらいながら自分たちで2種類のオリジナルワインを造るコースを企画した。全6回。
当日は冷たい北風が吹く中、参加者・関係者ら約30人が集まり、ブドウ畑に入ってヤマソービニヨンの古い枝や新しい枝の不要部分を切る剪定(せんてい)作業を行った。福島さんは各所を回りながら「ついつい残しておきたいと思うかもしれないけど、きっちり切って」「まだ長い。ここまで切る」と枝を指しながら声をかけた。「こんなに切っちゃっていいの?」「ここはどうですか」などと、初めは見分け方に不安を抱いていた参加者も、約2時間に及ぶ作業で徐々に迷いなく切り進められるようになっていた。
週末はキッチンカーで販売をしているという県内の女性は「趣味で発酵について学んでいるので、ワイン造りに興味があり参加した。農業経験もないが、ブドウの剪定が大胆な作業でびっくりしている」と話し、ワイン好きで各地のワイナリー見学にも参加しているという女性は「数日前に講座を知り申し込んだ。施設の見学だけでなく、栽培から関わるブドウでオリジナルワインが造れるなんて楽しみ」と笑顔を見せた。県外からの参加者は「以前ミニツアーに参加したことがあり、ワイン造りに興味を持った。この場所をきっかけに小川町の有機農業も知ることができ農業にも興味が湧いている。平日開催なので仕事を調整して参加したい」と意気込む。
「ボルドー液(農薬)も使わずにブドウを栽培する、添加物を使わずにワインを仕込む。こんなワイナリーは他にない」と目を輝かせるのはD&DEPARTMENT SAITAMAを運営するPUBLIC DINERの加賀崎勝弘さん。「県内外から参加者があり、将来醸造家を目指したいという方もいる。福島さんのワイン造りを知ってもらう入り口になれたことがうれしい。ワイン造りをサポートしてみたいという方にも、ワイン初心者の方にとっても絶好の機会になった。自分たちで造るオリジナルワイン、出来上がりが楽しみ」と話す。
ブドウの栽培について、福島さんは「経験者にしかできない方法ではなく、誰でもできるように作業を分かりやすくしていきたい。参加者の『分からない』が参考になる。皆さんには今後も手伝ってもらえるとうれしい」と話していた。「幅広く雇用を広げたい」とも。
次回は4月13日。2回目からの参加も受け付ける。