秩父鉄道(熊谷市筑波)の蒸気機関車「SLパレオエクスプレス」が4月1日、今季の運行を始めた。
1988(昭和63)年3月、熊谷市で開かれた「さいたま博覧会」をきっかけに始まったSLパレオエクスプレスの運行は今年で35周年を迎える。「パレオ」は秩父で発掘された化石「海獣パレオパラドキシア」に由来する。
熊谷駅で行われた出発式に出席した、秩父出身の落語家・林家たい平さんは「子どもたちは初めてのSL乗車かもしれない。たくさんの思い出を作って帰ってください」と乗客らに呼びかけた。SLの汽笛が鳴り、ゆっくり走りだすと、沿線に集まった人々が手を振って見送り、カメラを構えた鉄道ファンが「ファーストラン号」を撮影した。たい平さんは熊谷駅から長瀞駅まで乗車し、車内で記念ボールペンを配りながら乗客との写真撮影に応じた。
県外から訪れたという乗客の男性は「たまたま指定席券が取れたので初めて乗車した。たい平さんに会えてよい記念になった」と笑顔を見せていた。牧野英伸社長は「SLを運転するのに欠かせない石炭の価格が値上がりし、本年度から指定席料金を見直した。乗客がSLに乗ってよかったと思ってもらえるようサービス向上に努めたい」と話す。
同SLは、土曜、日曜、祝日を中心に合計80日間、熊谷駅から三峰口駅間を1日1往復する。乗車は全車指定で、乗車区間の普通乗車券とSL指定席券(片道=1,100円)が必要。運行は12月3日まで。