熊谷・源宗寺(熊谷市平戸)の仏像「平戸の大仏(おおぼとけ)」を修復するクラウドファンディングで現在、立正大学生考案のリターン品が採用されている。
源宗寺の仏像2体を復元するプロジェクト。寺が所蔵する木彫仏像坐像(ざぞう)は市有形文化財指定、県内最大級の木造寄せ木造りの仏像で、高さ3.48メートルの薬師如来と、3.93メートルの観世音菩薩(ぼさつ)の2体。大きさから、「平戸の大仏」と呼ばれ知られている。
2020年から2年かけて本堂の改修を終え、今回仏像の欠損部分を修復、復元する。保存修理資金は市補助金事業を中心に、これまでも不足分を寄付やクラウドファンディングで募集。本堂改修時には130人が寄付し目標を達成した。
今回のクラファンでは、平戸地域の歴史や地理、平戸の大仏について調査、フィールドワークを行っていた立正大学地球環境科学部原美登里研究室の学生が寄付返礼品のアイデアを提案。仏像と地域特産品などを合わせるなどして考案、準備を進めている。プロジェクトを統括する学芸員は「源宗寺保存修理委員会のメンバーでもある学生たちの柔軟な提案でオリジナリティーのあるリターン品になった」と話す。
リターン品は全部で11種類。大仏をモチーフにデザインした御朱印やポストカード、ステッカー、創業150年の老舗瓦せんべい店「軍配本舗中家堂」(熊谷市本町)が造る大仏や「慈」の文字を模った「落雁(らくがん)」、旧本堂の部材を再利用した焼き印入りの「絵馬」、源宗寺と仏像を紹介するパンフレット、麻の小袋、大仏オリジナルラベルの日本酒など。リターン品は寄付金額により異なる。復元する薬師如来像が手に持つ「薬壺(やっこ)」と観音菩薩像が持つ「蓮華(れんげ)」(どちらか1つ)の10分の1サイズレプリカも用意する。同研究室4年の笹本和希さんは「コロナ禍で、地元の文化財を守ることの大切さをより一層感じるようになった。大仏の素晴らしさを伝えるリターン品を準備したい」と意気込む。
担当学芸員は「本堂改修では、多くの皆さまの協力で完了することができた。今回は寄付返礼品を地元大学生が考え、準備することで、文化遺産の次世代への継承にもつながる」と話す。
クラウドファンディングは6月13日まで。