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熊谷「平戸の大仏」が一般公開 国内最大級の寄せ木造り仏像

修復された観音菩薩(左)薬師如来(右)

修復された観音菩薩(左)薬師如来(右)

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 熊谷市・源宗寺(熊谷市平戸)が12月22日から、新本堂完成に伴い「平戸の大仏(おおぼとけ)」の一般公開を行う。

専門家や建設業者など約20人が参加して、仏像の胴体部分を鉄パイプなどを下敷きに慎重に移動。あらかじめ取り外していた頭部を接合した

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 同寺が所蔵する「木彫仏像坐像(ざぞう)」2体は高さ3.48メートルの薬師如来と、3.93メートルの観世音菩薩(ぼさつ)で、その大きさから「平戸の大仏(おおぼとけ)」と呼ばれ知られる。木造寄せ木造りの仏像としては国内最大級で、1954(昭和29)年に熊谷市の有形文化財に指定されている。昨年から行われていた本堂の改修工事が完了し、12月1日、敷地内仮設倉庫から元の場所に安置された。

 江戸時代中期に建立された同寺本堂は、当初かやぶき屋根だったが、江戸時代後期から明治時代にかけての改修で瓦ぶきに変更。昭和時代から建物全体が老朽化し、大仏の保存にも影響が出ていたため、2018(平成30)年に檀家(だんか)組織や地元の平戸自治会、市教育委員会、商工団体関係者などが結集し、保存修理委員会を設立して再建を始めた。改修は約4,000万円をかけて実施。明治時代以降、奈良の東大寺の大仏殿に模して改修が行われてきた経緯があることから、装飾の「鴟尾(しび)」を屋根の最上部に取り付けたほか、旧本堂の鬼瓦を再利用した。

 昨年12月、旧本堂解体を前に大仏を仮設倉庫に移動した後、仏像本体も修復の必要があることが判明。吉備文化財修復所(さいたま市)での修理中に薬師如来の内部から1663年に製作された墨書が発見されている。監修した同市の学芸員は「仏像が無事に新たな本堂に戻ったことで安心している。地域の文化財を保護する大きなプロジェクトとなった。今回の完成を次世代に引き継ぐスタートと考えたい」と話す。同委員会の木島一也会長は「改修事業は多くの方々の協力によって進めることができた。多くの方に完成した様子を見てもらえれば」と呼び掛ける。

 公開時間は10時~15時(25日は13時~)。入場無料。今月26日まで。25日午前には関係者による落慶式が行われる。問い合せは熊谷市江南文化財センターまで。

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