渋沢栄一の生地・深谷市にある旧渋沢邸「中の家(なかんち)」主屋(深谷市血洗島)が8月10日、改修工事を終えリニューアルオープンした。
80歳代の渋沢栄一アンドロイドが、和服姿で座り、ふるさと血洗島や仲間との思い出を話す「渋沢栄一アンドロイド・シアター」
「中の家」は、渋沢栄一が晩年、帰郷の際に滞在し親戚や郷里の人と集った場所。1895(明治28)年上棟の木造2階建てで、2階屋根上部の養蚕家屋特有の換気用構造が特徴。延べ床面積は約520平方メートル。
これまでは耐震性が確保できず屋外から内部を眺める見学だったが、「建物を未来へ残し伝えていく」として構造補強による耐震性向上のための工事を行い、座敷内部へ入り見学ができるようになった。
内部は文化財の価値を保ちながら元の建物を尊重し改修。1階の土間から靴を脱いで上がった北側の座敷には、改修工事で発見されたれんが製のかまど跡、「中の家」と渋沢家の人々を紹介するパネルを展示。座って観覧できる「渋沢栄一アンドロイド・シアター」では、80歳代の渋沢栄一アンドロイドが和服姿でふるさと血洗島や仲間との思い出を話し、スクリーンの映像と掛け合いを見せる。栄一翁がくつろいだ上座敷、NHK大河ドラマ「青天を衝(つ)け」の再現セットの一部も展示する。
土ぶきだった瓦屋根を空ぶきに替える屋根改修には、クラウドファンディングによる寄付金1425万5,000円が集まった。しっくいなどを使った工法で瓦屋根や外壁細部まで復元され、屋根瓦の裏側には協力者や大河ドラマ出演者の名前が入った。
10日の改修工事完成披露式典には渋沢栄一のひ孫の渋沢雅英さんをはじめ、渋沢翁に縁のある企業や自治体の代表が参加。小島進深谷市長は「来年に迫る渋沢栄一の新紙幣スタートを日本全国で盛り上げたい」と力を込めた。
開館時間は9時~17時。入館無料。