深谷市内で1月12日、自動運転バス試乗会が始まった。
渋沢栄一新一万円札発行記念として「渋沢栄一記念館」(深谷市八基)から約13キロを走る、公道の実証実験を兼ねた試乗会。深谷市と埼玉工業大と6つの民間企業が連携する「深谷自動運転実装コンソーシアム」が運行。
運行ルートは、渋沢栄一記念館を乗降場所として、旧渋沢邸「中の家(なかんち)」や 「旧煉瓦製造施設」「誠之堂」「清風亭」「尾高惇忠生家」を経由して戻る1周13.6キロ、約45分のコース。運転者が乗車し、緊急時には手動で運転する「自動運転レベル2」で走行する。埼玉工業大学が研究開発した自動運転AIシステムを搭載した全長9メートルの大型自動運転バス車両で、交通の状況に応じて法定速度(時速60キロ以下)で走行する。定員は18人。
期間限定で運行し、一般向けの試乗運行枠は、1月13日・18日・19日の3日間限定で1日6便=全18便を予定する。深谷市によると、昨年末から小学生以上を対象に事前申込制で募集を行い、定員300人に対して約500人から応募があったという。小島進深谷市長は「応募者も多かったが、市役所には約300件の問い合わせがあった。市民の興味関心の高さが伺える。自動運転は遠い未来の話だと思っていたが、試乗してスムーズな動きに近未来が少し近づいていると肌で実感した。未来の乗り物には夢とロマンがある」と話す。「このルートは実際に渋沢栄一翁が歩いた道」とも。
1月12日には市立八基小学校の6年生12人が試乗。児童たちは緊張した表情でバスに乗り込むと、見送りの人たちに手を振りながら渋沢栄一記念館を出発した。事前に埼玉工業大学工学部情報システム学科の教授で自動運転技術開発センターの渡部大志センター長から特別授業を受け、自動運転の仕組みや車両構造、自動運転のある未来社会について学び、自動運転バスに付いている遠隔監視用カメラの機能を知る体験も行った。試乗を終え、児童たちは「初めはAIが不安だったが、思ったより乗り心地が良かった」「これからも信頼して乗っていけると思った」と話していた。
同大広報アドバイザーの菊池泰功さんは「これまでにも渋沢栄一大河ドラマ館から市内を巡る『渋沢栄一論語の里循環バス』の営業運行や、本学スクールバスの運行など1万キロ以上の走行実績がある」と話す。渋沢栄一記念館では自動運転バス遠隔監視システムの一般公開も行う。
2023年4月1日、道路交通法が改正され一定の条件下で運転を完全自動化するレベル4の自動運転が解禁。運転者が車内にいない状態で車を走らせることが可能となった。深谷市では今後、運転手の高齢化など人手不足を解消するために公共交通機関へ自動運転技術を導入して課題解決につなげようと、自動運転バスに地域住民を乗せる実証実験を行い自動運転レベル4の実現を目指す方針という。
今月19日まで。