特定外来生物「クビアカツヤカミキリ」の被害からサクラの木を守る「桜 防衛隊」の薬剤防除作業が現在、熊谷市内を中心に行われている。
フラス(幼虫の糞と木くずが混ざったもの)を見かけたら、連絡を
「桜 防衛隊」を名乗り薬剤防除作業に当たるのは、栗原弁天堂(熊谷市佐谷田、TEL 048-522-5498)企画室環境ソリューショングループ緑化担当。個人宅や寺社、学校、幼稚園などで作業を行なってきた。作業本数は、2022年=約250本、2023年=420本。同担当係長の我妻勇斗さんは「地域の大切な桜を守る」と力を込める。
クビアカツヤカミキリの幼虫は、サクラ、ウメ、モモなどのバラ科樹木に被害を及ぼす。被害が確認されている地域は、熊谷市のほか、行田市・深谷市・東松山市・本庄市・上里町・神川町・長瀞町など。各市町で成虫を捕殺し持参するとポイントを進呈する企画や防除補助金を当てるなどの対策を行ってきた。熊谷市では2017(平成29)年に初めて被害を確認して以来、年を追うごとに被害地域が広がっているという。幼虫が活動するのは春から秋とされ、葉桜の時期から活発になるため、落葉前までの時期(9月)が薬剤防除に適している。防除作業では被害を受けている木の幹に電動ドリルで穴を開け、薬剤を注入。葉が開いて樹木が水を吸い上げる力を利用して薬剤を木の内部に拡散する。
「木の内部にいる幼虫に薬剤を利かせるため穴を開ける。木の太さにもよるが、1本当たりの作業時間は約30分」と我妻さん。「注入薬剤の効果は87パーセント。被害がひどくなって樹木が水を吸い上げる力がなくなると、薬剤効果は低くなってしまう。早期発見が大事なので早めに連絡してほしい」と呼びかける。「幼虫の糞と木くずが混ざったフラスを見つけたら、既に幼虫が中にいる証拠」とも。
被害がない木には、成虫が卵を産み付けないよう幹にネットを装着したり、新しい幼虫が木の中に食い入るのを防ぐために薬剤を散布したりしての予防も必要という。薬剤防除について、我妻さんは「木の中で幼虫が2、3年生きているため、年に一度、3年くらいは続けないと効果がない」と話す。