熊谷駅ビルアズ熊谷6階にあるカフェ「PLACE COFFEE(プレイスコーヒー)」(熊谷市筑波)が6月30日、閉店した。
約400平方メートルのフロアにキッズスペース、ホールを併設する「クマガヤプレイス」の一角で、「地域の魅力が集まるコミュニティーカフェ」として2017(平成29)年6月25日に営業を始めた同店。
オープン当初は、市内のコーヒー店「ホシカワカフェ」(星川)「アキモトコーヒーロースターズ」(本石)「パブリックダイナー」(肥塚)が日替わりで営業。その後「プレイスコーヒー」として独自メニューを展開した。
メインは浅いりのスペシャルティコーヒーで、ハンドドリップ、エアロプレス、フレンチプレスの抽出方法で提供。オーガニックティーや自家製レモネード、チャイなどのドリンク、サンドイッチやグルテンフリーのチキンスープカレー、ルーローハン、自家製スイーツのほか、近隣店からパンや和菓子、ケーキ、クッキーなどのスイーツも取り寄せて販売、コラボメニューも登場した。
カフェで人々が交流し、さまざまな「モノやコト」が出会う場所であり、情報発信拠点だった同店。オープン当初から定期開催していた「プレイスマーケット」は、毎回異なるテーマで市内外から出店があり、参加者や知り合った人同士がその後イベントを企画したり、新しい取り組みが始まったりと交流の輪が広がっていた。
オープンから7年にわたり店長を務めた梅澤春樹さんは「地域にコーヒー文化を根付かせたいと思っていた。ありがたいことにコーヒーを通じて出合う人が増え、イベントを立ち上げたり、元スタッフが店を開いたりと、コーヒーを通じて表現する人、発信する人が増えたことがうれしい」と笑顔を見せる。
最終日の2日間で開催した「PLACE MARKET Finale&コーヒーと日常 one step forward coffee」は2日間で60店以上が出店。あちこちで再会や出合いを喜ぶ参加者の姿があり大いににぎわった。梅澤さんは、カフェ店長の傍ら家業も手伝っていた。今後は家業に専念するという。「気が付けば7年、自分のやりたいようにやらせてもらった。困難な時期があったが、乗り越えられたのは働いてくれたスタッフや支援してくれた皆さんのおかげ。(最終日を迎えて)過去最高に盛り上がったこのプレイスマーケットが、これまでの活動を表していると思う。良かった」と梅澤さん。「自分が考えるコミュニティーカフェは、金銭のやり取りがなく純粋な信頼関係を築く場所、そんな場所を作ってきた。今後、場所は変わるが同じような活動を続けていきたい」とも。
運営する「ホシカワカフェ-HSKWKF」「conscience」オーナーの鈴木洋介さんは「当時、プレイスコーヒーの出店依頼には戸惑ったが、ある日ふと、後に店長となる梅澤と開業時のメンバーの名前が頭に浮かび、彼なら任せられると依頼した。店の雰囲気作りからイベント企画、メニュー作り、原価計算にいたるまで期待に応えてくれただけでなく、彼はコーヒーへの情熱を忘れないバリスタ。個人的には、そんな彼らが働くPLACE COFFEEに海外からゲストバリスタを招いたコーヒーイベントを2回も開催できたことが特に記憶に残っている」と振り返る。「(自分は)オーナーに徹して店に立つことはなかったが、たくさんのお客さまや関係者の皆さま、プレイスコーヒーの為に尽力してくれた全てのメンバーに心から感謝したい」とも。
コーヒー店「50 COFFEE & ROASTERY」「LOTUS Cafe」オーナーで、コーヒーイベント「コーヒーと日常」代表の五十嵐智さんは「彼のおかげで、多くの人が集まる場所を作ることができた。店がなくなるのは寂しいが、これからの新しいスタートも楽しみにしている」とほほ笑む。
カフェでの会話からイベントを企画したり、活動を立ち上げたり、読書会やコワーキング、子育て親子の集まりやNPOの会合、テスト勉強にワークショップにとあらゆる使い方で、幅広い世代に活用された。毎月第1日曜に開催していた「ココロトオドルカフェ」は、カフェの来店客に「ほっこり」生演奏を届けるミニライブ。たまたま居合わせた人や音色に誘われてカフェにやってくる人など子どもから大人まで自由にくつろぎ、楽しむ姿があった。Comodeの松井清代表は「コロナで開催中止もあったが60回開催させてもらった。毎回楽しみにしてくれる方、イベントをきっかけにライブに興味を持ってくれた方など、つながるキッカケを作ってくれたイベントだった」と話す。
アズ熊谷によると、カフェの今後は未定だが、「クマガヤプレイス」は、これまで通りコミュニティースペースとして利用できるという。