無人航空機(ドローン)を使った点検調査に関する特別講義が11月29日、ものつくり大学(行田市前谷)で行われた。
ドローン撮影の様子。建設棟と製造棟の連絡通路周辺で建物の外壁劣化を点検調査する
建設コンサルティングの「旭工榮」(行田市行田)が協力する、学生の「卒業研究」(外壁の劣化研究)がきっかけ。学生が学内の建物外壁の劣化を卒業研究の題材としていることを同大で非常勤講師を務める同社の伊藤大輔さんが知り、協力を提案。今回の特別講義につながった。同社は事前に建物調査を実施。建設後20年以上経過したものつくり大学の建物外壁を高性能カメラ搭載のドローン(マトリス300)で1000枚以上撮影した。
当日は、技能工芸学部建設学科荒巻研究室の荒巻卓見講師が受講を呼びかけ、建設学科の学生約70人が受講。伊藤さん、同大卒業生で同社に勤める技術部調査課の早川征太さん・佐藤裕太さんが講師として登壇した。佐藤さんは、外壁の劣化調査をドローンで撮影するメリット、画像合成で解析できるひび割れなどについて解説。早川さんは屋外で実際にドローンを飛ばし、建設棟の外壁を撮影して見せた。
伊藤さんは「建設DXによるインフラ施設の点検調査」について講義。AIやIoT、ICTなどのデジタル技術を活用して業務プロセスを改革し、生産性向上や問題解決を目指す建設DXを解説した。「大学校舎は大規模で、人力で点検・調査を行うには足場などの架設が必要。時間・労力・費用がかかる割に生産性が低いという課題がある。デジタル技術の一つであるドローンや高性能カメラなら画像を解析すれば点検・調査できる。維持管理につなげることもできる」と説いた。
「企業の力を借り、外壁を調査してもらえる機会はめったにない。多くの学生に知ってもらう機会にしたかった」と荒巻講師。受講した学生の一人は「地元企業の人から仕事内容について学べる機会は貴重。建物の点検調査の必要性や最新の建設業界の話がためになった」と話す。
伊藤さんは「ドローンなどのデジタル技術を使う点検・調査と維持管理の重要性を学んでもらえた」と話す。「地元と大学がタイアップすることで共に人材を育てていきたい」とも。早川さんは「行田は第二の故郷。地元の企業に勤めることで社会貢献し、恩返ししたい」と話す。