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行田にシェアキッチン 地域でチャレンジする人育てるレンタルスペースに

合同会社「シロのある暮らし」の菅井さん。「関わり代(しろ)のシロ。関われる余地や余白のある暮らしが、わたしたちの地域での日常をより一層前向きに豊かにしていくように期待を込めた」と話す。

合同会社「シロのある暮らし」の菅井さん。「関わり代(しろ)のシロ。関われる余地や余白のある暮らしが、わたしたちの地域での日常をより一層前向きに豊かにしていくように期待を込めた」と話す。

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 行田・イサミスクール工場前にシェアキッチン「kate & soi(カテ アンド ソイ)」(行田市旭町、TEL 070-8452-2533)が2月23日、オープンした。

店内の様子。壁面にはフォトグラファー永島岳志さんの作品。ギャラリーとしてもレンタル可能

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 まちづくりに携わる合同会社「シロのある暮らし」の菅井幸子さんと夫の淳さんが、元足袋工場の女工宿舎だった空き家を、「育てるシェアキッチン」として改装し開いた。幸子さんは「チャレンジショップの民営版として、飲食店を中心に何かにちょっとずつ挑戦したい人が利用するレンタルスペース。来る人にも応援してほしい」と話す。

 店舗面積は約90平方メートル。広々した店内に、人から譲り受けたり小道具店やリサイクルショップなどで買い集めたりしたさまざまな家具を並べる。「明るすぎない色にした」という照明を配置し、落ち着いた空間を演出する。席数はテーブル席5卓14席。

 行田で生まれ育った幸子さんは「大好きな祖母がフライ店兼駄菓子屋をしていたことがローカルネタ好きの原点。子どものころ、引っ込み思案だったが、自分が好きな絵を描くと友だちにも喜んでもらえたり、デザイナーが向いていると言われたりした。専門学校で、ショップ企画やデザインの学んだことがベースとなり、シェアキッチン立ち上げにも大きく影響している」と話す。

 都内でデザインの仕事をしていた幸子さんは、祖母の他界をきっかけに、2002(平成14)年ころから「地元に携わりたい」と月に一度、都内から行田まで通い始めた。2014(平成26)年にNPO法人ぎょうだ足袋蔵ネットワークのメンバーとして「牧禎舎(まきていしゃ)」の藍染工房担当になってからは毎週末行田に通った。昨年6月まで務めた藍染め活動の中で、「空き家を活用したまちづくり」にも興味を持つようになったという。幸子さんは「行田の歴史・産業・景観を大事にエリアでつながっているようなまちづくりがやりたい。店で街を元気にしたい」と街を歩き空き家を探した。昨年行田へ移住し、「今までの経験を生かし利活用が難しいシェアキッチンの運営に挑戦しよう」と決意した。

 店名「kate & soi(カテ アンド ソイ)」の「カテ」は食糧の「糧」、「ソイ」は創意工夫の「創意」に由来する。幸子さんは「どちらも好きな言葉で、『糧』は宮沢賢治の『注文の多い料理店』の序にある『すきとおったほんとうのたべもの』から。『創意工夫』は人生のスタンスでもある」と話す。レンタル料は、1日カフェオーナーにチャレンジできる「シェアキッチン」1日=3,000円~。店は飲食店営業許可と菓子製造許可も取得している。利用者は食品衛生責任者資格が必要となる。木曜限定で菓子製造のみの利用もできる。

 テーブルと壁面を使って作品の展示販売ができる「ギャラリー」は1日=5,000円、4日間(金曜~月曜)=15,000円、8日間(金曜~月曜が2週)=2万5,000円、店内のテーブルは約畳1畳分の大きさで、ワークショップや作業に使うことができる。「WSテーブル」1日=1,000円で1人1ドリンクの注文が必要。

 オープン当日にシェアキッチンを用した発達障害カフェhananokaのスタッフは「障がいを抱える当事者がチャレンジできる場になるきっかけになれば。さまざまな方が来てくれて今後の展望が膨らんだ。今後も毎月最後の日曜に利用する。福祉の存在が身近にあることをしってほしい」と話す。

 菅井さんは「チャレンジする場としてどんどん使ってもらうことと同軸で、地域の人たちとのつながりを大事にしたい。今後は市内の農家さんが毎週カフェに入るほか、3月末にはバックの作家がギャラリーを利用する予定。ぜひ足を運んでほしい」とほほ笑む。

 営業時間は「kate & soi」のインスタグラムページで知らせる。火曜・水曜・木曜定休。

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