熊谷染継承の会(くまがやぞめけいしょうのかい)が5月26日から開催される熊谷染作品競技会に合わせ、「熊谷染扇子」の完成お披露目・販売を開始する。
「紺」「紫」「円地(エンジ)」の3色、扇子袋にも同じ模様が描かれている
熊谷染とは、型紙や手描きで美しい模様を染め出す模様染の一種。藍染めが盛んだった同地域で「江戸小紋」や「友禅染」の伝統技法と新しい技術を取り入れ洗練されてきた。現在制作する企業も少なく、同会は熊谷染の普及、技術伝承活動を行っている。
発売する「熊谷染扇子」は、同会と京都に店を構える京扇子製造卸「伊藤常」が制作した商品。細かい文様が合わさった「寄小紋」の模様に「熊谷染」の落款が入る。「紺」「紫」「円地(エンジ)」の3色で、見栄え良く、観劇に持っても使いやすいようにと少々小ぶりに作られた。1本8,000円。
昨年企画段階から京都へ足を運び、生地の素材や柄の色味、絵柄の出方まで「納得のいくまで試作した」という同会代表理事で埼玉県伝統工芸士の大久保伯男さん。「10年以上の構想を経て、ようやく形になり満足のいくものができたと思う。伊藤常さんとご縁がつながり、『京扇子マーク』も入った」と笑顔を見せる。「全面模様ではなく、一部無地にして落款を入れたのでモダンなイメージになっている。大人の女性にふさわしい」とも。
扇子の販売は熊谷市スポーツ・文化村「くまぴあ」(熊谷市原島)創作展示棟2階作品展示室で開かれる熊谷染作品競技会「第58回熊谷染芸展」のほか、市内観光協会などで取り扱う予定。
同展は毎年テーマを変えて同会会員の作品を発表する場。今年のテーマは「古典柄、伝統柄」、小紋や帯など50点以上が並ぶ。当日は一日50人限定で「ハンカチ染め体験」も無料で受け付ける。大久保さんは「会員の作品を見て熊谷染を知ってもらい、染め体験で熊谷染に親しんでもらえれば」と話す。
開催時間10時~15時。ハンカチ染め体験は13時30分まで。入場無料。27日まで。