熊谷の寺院「宝乗(ほうじょう)院 愛染(あいぜん)堂」(熊谷市下川上)で2月26日、12年ぶりの縁日開催を記念して愛染明王像御開帳が行われる。
1726(享保11年)年に建立されたという愛染堂は、「藍染(あいぞ)め」と「愛染」をかけて、江戸時代から関東一円の染物業者が多く参拝し、額の奉納や堂宇の修復費用などを行ってきた庶民信仰の歴史がある。堂内に祭られた、高さ1メートル45センチの愛染明王座像は全身赤色で、三面六臂(さんめんろっぴ)の姿。江戸時代前期の作とされる。
戦後、染色業界が衰退し参拝者が減少。近年は老朽化のため、崩壊寸前だった愛染堂を修復するため、2008年に地元有志らで愛染堂保存修理委員会を発足。市内各地で募金活動を行い、昨夏に修復工事が完了した。
修復後、愛染明王像を安置して縁日が開かれるのは12年ぶりとなる。当日は縁日復活を記念して、愛染明王像の御開帳を行うほか、大護摩供法要や虫封じ法要、藍染絵馬のパネル展示、吉備文化財修復所の牧野代表による講演会も行う。隣接する敷地内では、キッチンカーによる飲食販売、権田酒造による甘酒サービス、立正大学学生による寺カフェや紙芝居、昔遊びコーナーなどを展開する。
同委員会事務局の横田透さんは「たくさんの皆さまのお陰で愛染明王像が本堂に戻り、12年ぶりに縁日を開くことができてうれしい。堂内には貴重な絵馬もたくさん飾られていて、いかに厚い信仰を集めていたかが分かる。貴重な文化遺産を次の時代に伝えることが今を生きる私たちの責務だと思う。たくさんの人に知ってもらい後世に残していきたい」と話す。
縁日の開催時間は10時~15時。