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実盛公にささぐ 妻沼聖天山歓喜院「御開扉」、創建840周年で琵琶演奏奉納

境内の石舞台で行われた奉納の様子(画像提供=三好妙心)

境内の石舞台で行われた奉納の様子(画像提供=三好妙心)

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 創建840周年を記念し本尊の秘仏を「御開扉」(一般公開)している妻沼聖天山歓喜院(熊谷市妻沼)で4月17日、薩摩琵琶の奉納演奏が行われた。

弾き語りは源平合戦を思わせる法螺貝(ほらがい)の音で始まった

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 「御開扉」期間中さまざまな祭礼が執り行われている同寺院で、840年前に寺を創建した斎藤別当実盛公へ「鎮魂と感謝の祈りを捧げる」として、国内外で活躍する鶴田流薩摩琵琶奏者の須田隆久さんが琵琶演奏を奉納した。

 境内の石舞台で行われた奉納は、御詠歌(ごえいか)を捧げた後、舞台後方から源平合戦の出陣を思わせる法螺貝(ほらがい)の音が鳴り会場の空気が一変、平家物語の有名な感動悲話「実盛」弾き語りの始まりを告げた。

 本殿に向かい構えた須田さんは、琵琶の音を鳴らし、声と節回しで、幼少期に木曽義仲の命を助けた実盛が源平合戦で義仲と敵対し、侮られまいと白髪を黒く染めて闘いに挑む場面、討たれた実盛の首を見た義仲が白髪を見て恩人に気付き、さめざめと泣く場面など約20分間演奏した。県外から来たという女性は「琵琶の音色で心が浄化されるよう。平家物語は重く暗い話と思っていたが、臨場感があり幻想的でよかった」と話していた。

 奉納を終えて須田さんは「各地で奉納演奏を行ってきたが、創建した人物の物語をその場所で演奏するのは初めて。平家物語の『実盛』に登場する実盛公が創健した聖天様で御縁がつながり、創建840周年と御開扉の節目に奉納演奏がかなったことに感動している」と話した。「平家物語には『実盛』と同様に有名な熊谷次郎直実公の『敦盛』もある。機会があれば熊谷で『敦盛』の弾き語りを披露したい」とも。

 同院の鈴木英全院主は祭礼で「神仏習合」を説き神と仏が共存する姿、地域の人々の信仰の深さを話した。御開扉期間中、妻沼展示館(熊谷市妻沼、TEL 048-567-0355)で特別公開されている、同院に寄進された絵馬や奉納額からも信仰の歴史がうかがえるという。熊谷市の学芸員は「御開扉という一大行事に絵馬展を添えることで、さらに妻沼聖天山の歴史と信仰の文化を再認識することができる。絵馬には彫刻や絵画の技術的価値が高いものが多く一級の美術品といえる。じっくり鑑賞してほしい」と来場を呼び掛ける。

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