「あじさい寺」として親しまれる熊谷市の能護寺(熊谷市永井太田)で現在、アジサイが見頃を迎えている。
743年に国家安穏・万民豊楽と五穀豊穣(ほうじょう)の祈願のため行基上人が開山し、弘法大師空海が再建したと伝えられる同寺。本堂や市文化財指定の鐘を収めた鐘楼の周りを取り囲むように咲くアジサイは約50種類800株超。毎年6月上旬から下旬にかけて県内外から約1万人の参拝客があり、思い思いに境内を散策したり写真に収めたりしている。今月15・16日には本堂でチェロのミニコンサートが開かれる。
アジサイの開花時期に合わせて、期間限定で本堂に飾られているのは約5千個の「つるし雛(びな)」。東日本大震災で被災し避難所生活を送る人々の手で制作され、現在も福島県楢葉町の工房「和布細工工房ほのぼの」で作られている。縁のあった同寺では「作品を展示する場所を提供したい」と2012(平成24)年から受け入れ展示、アジサイの株や名産品を送ったり飾られたつるし雛を寺まで見に来たりと交流が続いている。
毎年送られてくる作品は花やまり、鳥、まねき猫など形もさまざまで色鮮やか、参拝客は本堂内を外から眺めることができる。住職の鈴木秀典さんによると、初めの頃はお地蔵さまや悲しい表情のものが多かったが、年々手の込んだもの、表情豊かで心和む作品に変化しているという。「アジサイと一緒に、一つ一つ手作りで制作された『つるし雛』をこの機会に見に来ていただければ」と話す。
拝観時間は8時~17時。入山料300円(18歳未満無料)。